2大会連続、決勝進出に進出した浅尾美和・楠原千秋組

 ビーチバレーの国内ツアー最終戦となる『第7戦 東日本大震災復興支援大会・川崎港60周年記念ビーチバレー川崎市長杯』は9日、川崎マリエン(川崎市)にて男女決勝が行われた。ツアー初優勝のかかった浅尾美和(エスワン)と楠原千秋(ユナイテッドホールディング)のペアは、日本代表チームの浦田聖子(千の花)・西堀健実(丸善食品工業)組と対戦。惜しくも0─2で敗れ、2大会連続の準優勝に終わった。

【写真20枚】優勝トロフィーを掲げた浦田・西堀ペア - ビーチバレースタイル

 秋の気配が漂い、ビーチの季節も幕が下りかけた10月。突然、ツアーに嵐が吹き荒れた。五輪経験者の楠原が突如ツアーに復帰。浅尾・楠原組は、トーナメントを次々と勝ち上がっていく。

 浅尾の熱願に「自分の持っているものを伝える」(楠原)と結成したペアは、浅尾の良さを引き出し、結果を残しただけなく、オリンピアンの技術を再認識させた。

 9日の決勝では敗れたが、前大会のペボニアカップでは浦田・西堀組を撃破。今大会でも同じく日本代表の田中・溝江組を準決勝で粉砕した。パートナーの浅尾は、「(楠原)千秋さんと私は、圧倒的に経験の差が違うんです。少しでも一緒にコートに立って勉強したいと思った」と話す。

 楠原のプレイは伝えようとした浅尾だけでなく、日本代表チームにも影響を与えた。楠原を良く知る浦田と田中は、口を揃えて言う。「千秋さんのようにきわどい場所へ攻撃してくる日本の選手はいない。打ち方、ボールの落としどころが違う」。さらに続けて浦田は、「千秋さんを超えていかなくてはいけない」と話す。

 ワールドツアーで結果を出せず、ロンドン五輪の出場権も危うくなりつつある日本代表チームにとって今回、ただ、ベテラン選手に手を焼いたという次元の話ではない。すでに現役を退いた楠原が勝っている現状を考えると北京五輪以降、楠原が持っているものが、すべて後世に伝えられてきたとも言い難いだろう。オリンピアンは指摘する。

「世界で勝つには、パワーで対抗しても無理。パス、トスの基本プレーの精度を上げて、ブロックを惑わせるショット(軟攻)が正確に打てないとダメ。ショットをただ、コートの空いているところに落とすだけでなく、相手の裏をかいて点をとっていく駆け引きをしなくてはいけない」。それこそ、まさにこの2週間、楠原が繰り広げたプレイスタイルである。

 楠原は、「持っているものを伝えられたか?」との問いに、「北京五輪後は3年間、育成目的でやってきた。若い選手が、私のプレーを見てどう感じたのか、それは今後わかること。期待している」と答えた。

「日本代表コーチや指導的立場には?」との問いに、楠原は「もういいでしょう」と笑う。だが、彼女の技術、戦略、対応力は、日本が世界で戦う上で、五輪出場権を獲得する上で必要になってくるであろう。その時、何らかの形で貢献してほしいと願わずにはいられない。

(取材・文=小崎仁久)

浦田聖子・西堀健実組
今シーズン、2冠に終わった浦田聖子・西堀健実組 (写真提供:ビーチバレースタイル

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