セリーグは3日の理事会で、今季から新たに導入された12球団統一球の検証を行うことを決めた。中日ドラゴンズ佐藤良平球団代表から、「検証する必要がある」との提案があり、意見が一致した。

 理事会では、シーズン終了後、すぐにデータを整理して着手することが決まった。バットの折損との因果関係も含めて検証する方向で、今後はパリーグの意見も聞く。
 東京ヤクルトスワローズ球団常務の新純生理事長は、「いろんなデータが上がっている。やめるとか、やめないということではない。一度ちゃんと検証しましょうということ」と説明したが、検証の結果次第では、両リーグから統一球の見直し案も出てくる可能性がある。

 統一球については、今季の本塁打数が両リーグで極端に減少読売ジャイアンツ渡辺恒雄球団会長も、「古いボール復活で空中戦になれば、お客さんも上向きになる」と持論を展開していた。

 12球団統一球について、当ブログでも9月28日付の更新「統一球の余波」(http://blog.livedoor.jp/yuill/archives/51618379.html)で取り上げた。

 改めて振り返ると、たしかに渡辺ジャイアンツ会長の指摘どおり、今季は両リーグで本塁打数が減少し、チーム打率は低下。代わって、チーム防御率が改善されている。

 また、1試合あたりの観客動員数も、福岡ソフトバンクホークス東北楽天ゴールデンイーグルス北海道日本ハムファイターズ広島東洋カープを除く8球団で、前年を下回っている。
 渡辺会長は、打球の飛距離が出ない12球団統一球と、観客動員数の減少の関連性を強調しているが、現時点ではその確認は難しい。昨年と今年とでは、試合が開催された曜日、天候、チームの調子など、条件が異なる他、3月11日に発生した東日本大震災東京電力福島第一原子力発電所事故の影響で、シーズンの日程が大幅に見直されたからだ。

 そんな中で今回、セリーグの理事会で浮上した統一球の検証。チームの成績や営業面での影響を検証するのはいっこうにかまわないが、最初から統一球撤廃で話が進むようでは問題だ。それこそ、何でもかんでもジャイアンツに従うという悪しき習慣に逆戻りすることになる。

 現存するプロ野球球団では、わが国最古の球団ということもあり、ジャイアンツは球界の盟主を自認。前身の大日本東京野球倶楽部を創設した故正力松太郎氏も、「巨人軍は常に紳士たれ。巨人軍は常に強くあれ。巨人軍はアメリカ野球に追いつき、そして追い越せ」からなる遺訓、いわゆる巨人軍憲章を残している。

 そんな紳士を目指す球団は、残念なことに、球界に波風を起こすこともしばしば。古くは、南海ホークス(現福岡ソフトバンクホークス)のエース、別所毅彦を強引に引き抜いた別所引き抜き事件強引なセパリーグ分裂、最近では他球団からのFA選手の乱獲今年の開幕戦の予定通り断行問題と、ジャイアンツの暴挙には枚挙に暇が無い。

 盟主の暴挙は、他球団、特にセリーグの球団にも責任があると言っても過言ではない。セリーグの他球団は、対ジャイアンツ戦での放映権収入欲しさに、ジャイアンツに異を唱えることが出来なかった。「既存リーグからの脱退」「ジャイアンツによる新リーグの組織」を振りかざす渡辺会長に従い続けてきた。

 その最たる例が、江川卓の獲得を巡る空白の1日事件。事件の詳細については他に譲るが、終わってみれば他球団、コミッショナー、そしてドラフト会議で江川の指名権を獲得した阪神タイガースまでもが、江川のジャイアンツ入団に協力した。

 仮に、今オフの検証が、最初から統一球撤廃を前提にしているのなら、それはジャイアンツのご機嫌伺いと言えるだろう。まさに、時計の針を逆に戻すようなものだ。