携帯音楽プレイヤーの代名詞を、長らくアップルの『iPod』に奪われていたソニーの『ウォークマン』だが、今年に入り“復権”の兆しが見え始めている。8月末の段階で、国内販売シェア52.8%とトップを走っているのだ。

 このウォークマン人気の背景には、10代の若者をターゲットに絞ったソニーの戦略があると、トレンドモノ雑誌『ベスト・ギア』編集部の滝田勝紀氏は言う。

「ウォークマンは一昨年、“歌え、10代。”なるコピーを掲げて『歌詞ピタ』サービスなどを開始し、主にヒット曲をカラオケで歌う10代の支持を得ました。彼らはまだiPodを手に入れてない世代。そこに種をまくかのごとく、彼らが使いやすいダイレクト録音機能や簡易スピーカーのセット販売などを展開したのも大きく、10代の間に“携帯音楽プレーヤー=ウォークマン”のイメージが刷り込まれました」

 この「人生最初に手にする携帯音楽プレーヤー」戦略でまいた種が実を結んだ現在、さらに追い討ちをかけるように9月13日に発表されたのが、OSにアンドロイドを搭載した新型ウォークマン『Zシリーズ』だ。史上最強のウォークマンと謳(うた)われる同機種の、いったいどこがスゴいのか。

「ウォークマンはこの10年、iPodに大きく水をあけられていました。原因は独自の操作画面や音楽ファイル形式に固執しすぎたため。(アンドロイドを搭載することで)その弱点が完全に克服されます。さらに、モバイル端末向けの高音質技術を進化させ史上最高音質を実現。Bluetooth対応によるワイヤレスの快適なリスニング環境もウリで、アンドロイドマーケットで音楽も買えます。『ウォークマン=いい音』という従来のイメージに、『ウォークマン=使いやすいアンドロイド音楽プレイヤー』のイメージを加えることでiPod touchに全面戦争を仕掛けつつ、一気にユーザーを奪いにきた感じです」(滝田氏)

 アンドロイドを搭載することで、10代の支持はより確実になったとする声もある。タブレットやクラウド事情に詳しいジャーナリストがこう語る。

「現状、アンドロイドで音楽を聴く人は多くありません。理由は音楽を聴くには使いづらいから。そこでウォークマンに近い使い勝手が実現できれば、十分に差別化ができます。また、スマホに憧れを抱く10代はケータイのライフラインである“バッテリー”に執着が強く、音楽プレイヤーは別に持っている人が多い。彼らにとって、スマホ気分が手軽に味わえ、音楽も快適に楽しめる“アンドロイド・ウォークマン”は非常にそそられる音楽プレイヤーなんです」

 1979年に初代ウォークマンが発売されたとき、その名のとおり「歩きながら音楽を聴く」のは若者の特権だった。それから30年、10代の定番音楽プレイヤーとして原点回帰した「Zシリーズ」、発売は12月10日を予定している。

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