「全国に観測網が設置されましたが、信憑性のある前兆現象は観測されてません」と語るゲラー氏

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「東海地震は明日起きてもおかしくない」と、本気で言われ始めたのは1976年。その後35年間、巨大地震は首都圏・東海地方を素通りし、北海道や関西、新潟、東北地方を襲った。御用学者はそのたびに「想定外」を繰り返す。

「地震予知なんて、やっぱりできないんじゃ?」。

 多くの人がうすうす気づいていることを、言い切った研究者がいた。『日本人は知らない「地震予知」の正体』の著者であるアメリカ人研究者・ロバート・ゲラーだ。

――日本の地震予知には膨大な予算が投入されているとか?

 地震予知なんてできないことは、プロの研究者自身もよくわかっていると思います。彼らにとって予知とは、国から予算を取るための「打ち出の小槌」です。予知のためという名目で、今年度は130億円もの予算が組まれています。予知研究を推進するというのは、利権を維持するための大義名分になっているのです。

――130億円なんてお金が毎年、予知につぎ込まれているのも驚きですが、その前提となる地震予知は本当に不可能なんですか?

 1976年に、東大の研究者が「東海地震が来る」と主張し、パニックが起きました。この時の世論を後ろ盾にスピード成立した「大震法(大規模地震対策特別措置法)」という法律が根拠となって、観測網が、まず東海地方に整備されます。大地震の前には予兆があるはずだから、観測所を作れば事前にわかるという理屈です。

 しかしそれ以降、前兆現象を観測した例は皆無ですし、「東海地震」もいまだに来ていませんね。その後、観測網が全国に設置されましたが、一度も信憑性のある前兆現象は観測されていませんでした。やはり、予知は無理でしょう。

――それでも、アマチュアで予兆があったと言う人もいます。

 新潟県中越沖地震の時も、そんな主張がありました。しかし彼らのなかで、同じ前兆現象が起きていると3月11日以前に主張し、東日本大震災を当てた人はいません。予兆の話は後出しジャンケン。関係するファクターが多すぎて、メカニズムを解明できないものを「複雑系」といいますが、地震がまさにそれ。把握できるはずがありません。また、地震が周期的に起きるという説も学術的には否定されています。

――しかし、研究を続けたらいつか予知が可能になるかもしれません。

 予知研究をしたいなら、ほかの研究と同様に、審査を受けてそれを通過したものだけが予算を得られるという正規の手続きを取るべきです。

 ただ、それに値する研究は残念ながら存在しないと思います。まともな研究者で予知に取り組んでいる人は海外ではいませんし、日本の予知研究で評価されているものもありませんから。

――「大地震が起きる」なんて特集をしてきた週プレの一員として、申し訳ない気分になってきました……。

 まあ、週刊誌はそういうものですから(笑)、罪は重くないのかもしれませんが、国の方針がゆがめられているのは問題です。御用学者は予算を得るために、十分な検証をしないままウソをつき続け、官僚は天下り先を確保するために予知関連の団体を維持しています。

――利権によって真実がゆがめられる。日本の原発行政と同じ構図ですね。

 日本の問題はどこも同じということでしょう。一刻も早く、誤った地震行政を変えるべきです。

●ロバート・ゲラー
1952年、アメリカ生まれ。東京大学教授。専門は地球物理学

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