ロンドン五輪アジア地区最終予選 日本×マレーシア バリデー主審評

五輪のアジア予選にはあまり良い思い出がない。大ファンだった小倉隆史がライダーキックを浴びたのにもかかわらず、相手への懲戒罰が驚くほど軽かったことは未だに鮮明に覚えている。いったい、審判団はなにを考えているのだろうか?と本当に嫌な気持ちになった。
ルールには【安全に、公平に】という精神があるという。アジアでは、それを踏みにじられたような気持ちになることがある。それが上述した小倉の怪我だったり、小野伸二もそうだった。もちろん、小川氏がAFCの審判部長に就任し、近年の五輪予選でそのような思いを味わうことはなかったのだが、それでも不安は拭えない。

2分、裏から引っ掛けた日本のファウル。5分のノーファウルとなった酒井豪のチャージ、直後のファウルとなった清武の見極めも良い。12分にはリスタートの位置を細かく指示をする。
バリデー主審は、ファウルをしっかりとってくれる。心配するような荒れた試合にはならなそうだ。
そんななか20分。イザックのボールにプレーできる範囲外での無謀なチャージは警告かと思われたが、ファウルのみ。このラインに基準を置くと、こういったファウルが多発してしまう。危惧した通り、25分にも扇原がアフターでチャージを受ける。厳しい注意を与えるというパフォーマンスは最低限必要だった。
バリデー主審もマリーシアのプレーを見て、このままではまずいと思ったのか、27分に山村をアフターで引っ掛けたイザックに警告を与える。このカードで試合は落ち着き、Jリーグ同様の基準で試合は進む。63分には、永井のふくらはぎを蹴ったシュクルに警告。


20分の判定でどうなることかと思ったが、以降のレフェリングは妥当だった。やはり、アジアのレベルも上がってきている。

それにしても、この試合が満員になるとは思わなかった。国立競技場で試合を行っていたら天候関係なく、満員にはならなかっただろう。それは、最近の五輪代表が物語っているし、現五輪代表にスーパースターがいる訳ではないので、それは変わらなかったはずだ。
そういった意味でも、鳥栖スタジアムを選んだ日本サッカー協会は珍しく良い仕事を行なったといえる。取材する側としては厳しい部分もあるが、地方のスタジアムでの試合は、日本サッカーにとってプラスになる。今後の調整が楽しみである。

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