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 あなたは本当に自分だけは正常だと言えますか? 『ハロウィン』(1979年公開)、『遊星からの物体X』(1982年公開)でホラー、SFの金字塔を打ちたてた鬼才ジョン・カーペンター監督。2002年に公開された『ゴースト・オブ・マーズ』を最後に映画を撮らなかったマスター・オブ・ホラーが沈黙を破り、9月17日より全国公開となった『ザ・ウォード/監禁病棟』で10年振りに完全復活。精神異常者を収容する病棟に監禁された5人の娘が一人、また一人と姿を消していきます。

ザ・ウォード/監禁病棟

 1959年。20歳のクリステンは覚えのない放火の罪に問われ、精神病棟に送られてしまう。そこでは同年代の少女ばかりが隔離されていた。自分が狂人だとは認めないクリステンだったが、放火を目撃したことと自分の名前以外、一切の記憶を失っていることに気付き……。

恐怖1:下着姿の美女が、放火の罪で精神病棟送りに

 主人公のクリステンを演じるのは、8月6日に公開したニコラス・ケイジ主演の『ドライブ・アングリー3D』でヒロインを務め、10月28日に全米で公開される『The Rum Diary』でジョニー・デップの相手役にも大抜擢されたアンバー・ハード(25)。美しい風貌とはうらはらに何か大きな問題を抱えている彼女は、朦朧とした意識で下着姿のまま森の中を走り、一件の農家に放火。その罪で、物語の舞台となるノースベント精神病院のウォード(監禁病棟)へと収容されてしまいます。時代設定がロボトミー手術が横行していた1966年ということもありますが、古びた病棟には雷鳴が轟き、チカチカと不安気に点滅する電灯と稲光によって照らし出された廊下には、何者かの怪しげな影が…。ジョー・カーペンター監督の復活作は、“いかにもホラー映画”なオープニングから幕を開けます。

恐怖2:背後へと忍び寄る、おぞましい顔をした女

 ウォードには、すでに4人の少女が収容されており、さらにはクリステンと入れ違いに“退院した”ばかりと思われる、もう一人の女性の痕跡が消されようとしていました。悪夢にうなされ目覚めたクリステンは、廊下を歩くおぞましい顔をした女の姿を目撃。ウォードには、看護士でも患者でもない、何か別の者がいるのではないか? 翌朝その話をしても誰一人として信じてはくれず、シャワー室に一人になったクリステンは背後に人の気配を感じ、振り向くとそこには、昨晩見たおぞましい顔をした女の姿が…。

恐怖3:一人、また一人と消えていく女性患者

 ボロボロになったうさぎのぬいぐるみを抱くゾーイ(ローラ・リー)、華やかだけどどこかツンとした雰囲気のサラ(ダニエル・パナベイカー)、絵を描くのが好きなアイリス(リンジー・フォンセカ)、歌を得意とするエミリー(メイミー・ガマー)。自分のことを狂人と認めている4人とは違い、自分だけは正常だと信じるクリステンですが、放火を目撃したことと自分の名前以外、一切の記憶を失っていることに気付かされます。監禁された5人の少女は一人、また一人と“退院した”という名目で姿を消していき、ウォードに重大な秘密が隠されていることを確信したクリステンは真相を探り、想像し得なかった恐ろしいまでの真実に直面します。

総評:監禁された少女と、失われた記憶

 クリステンが目撃したおそましい顔の女について、なぜ誰も話そうとしないのか。おぞましい顔の女が、少女たちを襲う理由とは? また、何らかの問題を抱えたクリステンが放火を犯し、記憶を失った理由とは? 全ての謎が一つの答えへと繋がり、それらが明らかになった時、ラストには衝撃の結末が待っています。

ザ・ウォード/監禁病棟 - 公開情報
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絶叫度★★★☆☆ 流血度★★☆☆☆ 怪物度★★★☆☆ 迷宮度★★★☆☆ 現実度★★☆☆☆