『ばかスイーツ』(べつやくれい/アスペクト) 牛乳ネタが多いので、べつやくさんは牛乳好きとみた!

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『ばかスイーツ』は、スイーツの本である。
とはいえ、頭に「ばか」がついているぐらいなので、ヴィララフレージェみたいなヴとレとジェがいっぱいでてきて舌がくるくる回るこんがらがる名のスイーツは出てこない。

養命酒を買ったはいいが喉がカッとなる感じが苦手で呑んでなくて、じゃあブランデーケーキならぬ養命酒ケーキはどうだろうって作ってみる、とか。
コンビニ、スーパー、デパ地下で買い集めたプリンで、プリンのみで構成された夢のプリンアラモードを作ってみよう、とか。
なぜか、地獄!と思いついて、地獄デコレーションのバレンタインチョコレートを作ってみる、とか。
「チョコレートパフェと言いつつ、チョコレートじゃないものが入ってるではないか」と、チョコレート味だけでそろえたチョコレートパフェを作ってみる、とか。
そういう本だ。

“コーンフレークのかわりにチョコフレークを。
チョコレートムース、チョコ生クリーム、チョコカールと重ねる。時々チョコシロップを投入。
その上に、チョコアイス、チョコ生クリームを入れ、
チョコ味のケーキ2種をのせる。”
さらに、5円チョコとか、ガルボとか板チョコを載せて、
ダークな茶色でコンポジションされた100%チョコレートパフェである!

そもそも、毎日が楽しい「デイリーポータルZ」に、べつやくれいさんが書いたものを、再構成して本にしようっつーことで、「デザート系の記事がけっこうあるので、スイーツ本はどうですかね」「でも、ばかみたいなのしか作ってないじゃないですか」で、「ばかスイーツ」ってことに、という本なのである。

「いろんなイモでイモモチ」
「クッキーでつくるタコ図鑑」
「柿とピーの割合を研究する」
「パピコはあっためてもおいしい」
「ドクターペッパー牛乳できました」
「ソースせんべいは腹の足しになるか」
「ヨーグルトにしょうゆは合うか」
「どこの店の氷が食べやすいか」
などタイトルならべると、「お洒落スイーツ」とは別世界であることがくっきりと伝わってくる。

両親ともに働きに出てて、夏休み特番の午前のアニメ観たらもうやることなく、ひまでひまでしょうがないので、おやつ使ってひとり遊びを始めた子供のノリを、全力で大人がやってる、という状態である。

写真とイラストを巧みにマリアージュ(←よく分からず使ってます)し展開するおやつ実験の数々。読んでると、いい感じで力が抜けてくる。
先がしゅっと細くなるタイプの文字で「スイーツ+癒し」というキャッチコピーを帯に書いたってウソじゃない本なんだけど、先が細くならないフォントで「お菓子を使った“やらなくてもいい”珍実験!」と帯にちゃんと書いてある。
ずーっと夏休みみたいなこの本『ばかスイーツ』を読んで、夏休みが終わっても夏休みスピリッツを心にがんばろー。(米光一成)