渡辺謙&菊地凛子 (撮影:野原 誠治)

 陰謀うずまく太平洋戦争開戦前夜の上海を舞台にしたサスペンス超大作『シャンハイ』。米国諜報員殺害事件の真相を捜査するソームズに付きまとう日本軍諜報部のタナカ大佐役で渡辺謙、コナーの恋人で事件の鍵を握る謎の女スミコ役として菊地凛子が出演している。アメリカ、中国の名優と肩を並べて演技した二人は、どの様な想いを持ってこの映画に取り組んだのか、インタビューしてみた。

――渡辺さんと菊地さんは、初共演ということですが、お互いの印象を教えて下さい。

渡辺謙(以下、渡辺):やっぱり相当過酷な現場がたくさんあったんだろうな、と推察出来るんですよ。今回の撮影は、役柄的に僕がずっと追いかけて、彼女が逃げていくので、一緒になる機会が最後くらいしかなかったんです。でも、一緒にやった1シーンも大事なシーンだったので、相当、テイク数を撮りましたね。出来上がりを観た時、彼女が各国のいろいろな監督と仕事をしている中で鍛えられているんだな、と随所に感じましたね。

――菊地さんは、渡辺さんについてどの様な印象を受けられましたか?

菊地凛子(以下、菊地):みなさん、ご覧になったら分かるように、謙さんは、すごく大きい方ですよね(笑)

渡辺:大きいって、動物じゃないんだから(笑)

菊地:国際的な俳優さんたちと並んでも謙さんはやっぱり大きいです。背も大きいですけど、存在感も大きいですし、やっぱり国際的な俳優さんっていうのはこういうことが条件なんだなと、すごく思いました。それに、すごく気さくで協力的で、一緒に共犯者になれるような、何かシェア出来るような部分を見せてくださる方です。いつもは、海外で孤独感をすごく感じたりするんですけど、それがなかったです。懐が大きいので、甘えてもいいかな、みたいな。

――実際に、甘えたりもされたのですか?

菊地:実際、このインタビューだって、あとは謙さんがまとめてくれるだろう。私は、ちょいちょいでいいかな、と(笑)

――お二人とも国際的な俳優・女優ですが、日本で仕事をされていた時と比べて、何かご自身のスタイルや心境に変化はありましたか?

渡辺:海外で仕事をするようになって、きちんとお互いのコンセンサスを取れているか、もう1回再確認するようにはなりました。出来るだけ心を開いて、思っていることをお互いにちゃんと言い合える状況・環境を作って、映画をきちんと良い方向に向けていくっていうことを、非常に当たり前のようにやることを、海外に出た時に、気が付かされました。の本でも同じ言語で話し、同じバックグラウンドの中で生活をしたり、物を考えたりしているから、全てが分かり合っているかというと、そういうことではない。逆に国が違うから分からないということではない気がしたんです。それで、日本で仕事をする時も、同じようにやるべきだと思い、心の開き方が前よりもちゃんと開くようになったかな。

菊地:この『シャンハイ』など、インターナショナルに、いろいろやらせていただいているので、ちょっとやそっとのことでは動じなくなっちゃうんですよね。すごくいろいろな国の人たちがいるので、自分の常識ではない範囲でも「これは常識だ」と言われると、「そうかな」となってくるというか、「Google Earth」のような気持ちになってくるというか(笑)。

――「Google Earth」ですか?菊地:宇宙から見たら大したことないかな、みたいな(笑)。そういう気持ちになってくるという意味では、タフにもさせてもらいました。海外で培われてきたものを持って、また日本に帰ってきて仕事ができるというのは、すごくラッキーだし、こういう環境を与えてもらっていることに関して、自分は感謝しなきゃいけないな、と思いましたね。