表にそぐわないと判断していると見るべきだろう。

「いい決断をしたんじゃないか。後はお前のスピリットだけ」と愛弟子の背中を後押しした西野監督もその胸の内は「ドイツのサッカーであいつのプレーが際立つかも知れないし、逆にマイナス面を評価されるかもしれない」。

■宇佐美がこれから記していくページの先にあるものは

欧州の巨人たちが居並ぶ高いハードルを前に、逆に宇佐美の目は輝いていた。「練習から、世界的な選手と対峙するために行く。そんな経験はできないし、日頃の練習や紅白戦が公式戦のつもり」。19歳が、名刺代わりにするのがやはり今季序盤見失いかけていた自らの武器、ドリブルだ。

世代別代表のエースとして数々の国際経験を積んできたからこそ分かる「肌感覚」が自らの尺度。「今までの国際経験で語っていいのか分からないけど、相手の対応の仕方が抜かれない守備でなくてボールを獲りに来るのでいい状況で仕掛けられればアジリティーで確実に勝てる。ドリブルが好きな選手は、相手のコンタクトこそレベルが違うけど海外のほうが、うまく外せていいような気がする」。かすかな遠慮と大きな自信が言葉の陰に見え隠れする。

今までの欧州組と異なり、いきなりのビッグクラブ挑戦は宇佐美にとって「ステップアップとは思っていない。バイエルンで成功出来ればずっといたい」。

2年前の5月、公式戦初デビューの前日に「緊張で吐きそう」と初々しさを見せていた若き俊英は、2年足らずのJリーグでの「序章」を記し終え、いよいよ「USAMI」という名のストーリーをドイツで書き記していくことになる。

最終章?もちろん、ラストページに待つ「バロンドール」の文字に至るまでには膨大なページ数と波乱万丈の展開が待っているはずだ。

■著者プロフィール
【下薗昌記】
1971年大阪市生まれ。大阪外国語大学外国語学部ポルトガル・ブラジル語学科に進学。朝日新聞記者を経て、2002年にブラジルに「サッカー移住」。ブラジルを中心とする南米各国でのべ500を超える試合を取材し、2005年に一時帰国後は大阪を拠点にG大阪を中心にJリーグを追う。日本テレビでは南米サッカー中継の解説も担当する。


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