片や関塚ジャパンには、展開美がない。パスは繋がっても、展開に感激させられるシーンはほとんどない。グアルディオラと山村選手との差で片付けられる問題ではない。

日本のパスワークに決定的に欠けているのは、場所への拘りだ。2点間のボール移動が、どこからどこへではなく、誰から誰へになっている。パスは、ピッチというキャンバスの上に、一本の線を描く行為そのものだ。

そのどこに、どんな長さの線を描くことが有効か。効率的か。はたまた美しいか。パス1本1本にはデザイン性がある。それこそが展開美の源なのだ。フィールドプレイヤーは画家である必要がある。あるいはデザイナーとしての自覚が不可欠になる。

いくらパスを決めても、デザイン的に優秀でないモノは良いパスとは言えない。そうしたパスがクウェート戦の関塚ジャパンには多かった。90分を通して、そのピッチに描かれた絵は、鑑賞に堪えうるモノではなかった。パスはたくさん繋がったけれど、「パスを繋ぐサッカー」ができても、褒める気が沸かないのが日本のサッカー。

相手が格下で、プレッシャーが弱いなら、完璧な絵に拘るべき。一本一本の線に、拘りを持たせるべき。山村選手は良い選手だと思うが、画家、デザイナーとしての才能にはいまのところ「?」だ。日本代表のスタメンは、それなしには取れないと僕は思う。


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