「家に帰るのが怖い」。近頃、独身リーマン、OLの間でそんな声が増えている。

「一人ぼっちのマンションで余震におびえる夜はもうたくさん。眠れないまま布団の中で悶々としていると、『巨大地震が起きて、そのまま孤独死したらどうしよう』とか、『結婚もせず、心から気を許せる友人もいない自分はつくづく孤独な人間だ』なんて考えてしまうんです」(31歳女性・広告代理店勤務)

 震災後、あらゆるメディアで目にするようになった「絆」というキーワード。だが、顔の見えない日本人同士の結束力は高まっても、身近な人々――上司や部下、家族、異性との絆は、あまり感じられないのが現実ではないだろうか。

 一方、いよいよこれから「震災不況」は本番となりそうな様子。厳しい峠を一人で乗り越えるのは精神的にもキツそうだ。とはいえこのご時世、そう簡単に結婚相手やフレンドリーな職場が見つかるはずもない。そこで今回はあらためて「ニッポンの絆」とは何か、見つめ直してみることにした。果たして「草食系男子」が見出した居場所とは!?うつギリギリの場合の奥の手とは!?

――この連載では、“問題の現場”を知る2人のインタビュイーが登場。それぞれの立場から混迷期のサバイバル術を語ってもらう。第2回目のテーマは「絆」。急速に変わる社会で「新しい居場所」を探る方法を2つ聞いた。

「寄り添う」東京ボランティア市民活動センター所長 山崎美貴子さんの話

 女性を口説く気にはならないけれど、同じ日本人として、苦しんでいる人は見ちゃいられない――。東京ボランティア・市民活動センター所長の山崎美貴子さんの話から、そんな「新しき日本男児」の姿が浮かび上がってきた。


山崎美貴子さん/明治学院大学教授・副学長、神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部長を歴任。1986年より東京ボランティア・市民活動センター所長に。ボランティア活動などを精力的に推進。『ボランティア活動のひろめ方』(第一法規)など著者多数。

「今回の震災でボランティア活動の中心となっているのは、いわゆる『草食系男子』なんです。ボランティアが急速に増えたのは、阪神淡路大震災以降。このときは学生が大勢参加した。その前はおもに中年の女性たちが活動を支えていました。ところが今回の中心層は、会社を休んで駆け付けてくる 20〜30代の男性たちです。

 昔のボランティア青年は自己主張が強くて、いかにも熱血漢という感じだったんだけど、彼らはあきらかにそれとは違う。非常に淡々とした態度なんです。いかにも草食系、というタイプが多いんですよね」

 山崎さんが驚いたのは、災害ボランティアとしての彼らの優秀さだ。

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