NTTドコモの携帯電話「TOUCH WOODケータイ」のプロモーション動画が、世界中の注目を集めている。

   特設サイトで2011年3月から公開されている約3分の動画で、タイトルは「森の木琴」。森の斜面に44メートルにわたって並べられた巨大な木琴が、バッハの名曲「主よ、人の望みの喜びよ」を静かに奏でる、というものだ。

「日本の職人技はすごい」

   斜面に一直線に並べられているのは、1本1本違う長さに切られた手作りの木製鍵盤だ。その上を小さな木製のボールがゆっくりと転がり落ち、音を奏でるという仕組みで、ドミノ倒しのような仕掛けもある。バックには葉っぱの揺れる音や鳥のさえずりが聞こえ、思わず耳をすましたくなる。

   「からくり仕掛け」の装置は、日本ではNHK教育テレビの「ピタゴラスイッチ」に登場する「ピタゴラ装置」が有名だが、海外では「ルーブ・ゴールドバーグ・マシン」と呼ばれ、各国で親しまれている。ドコモの動画は、自然を利用した大掛かりな装置が評判となり、ネット上の口コミですぐに世界中に広まった。

   米紙「ニューヨークタイムズ」のブログ、「ディスカバリーチャンネル」など、多数の海外メディアも「素晴らしいアイデアだ」「美しい」と取り上げ、Youtubeに転載された動画の再生数は現在、300万回を突破している。動画に付いた1600件以上のコメントも、「日本の職人技はすごい」「木のぬくもりを感じる」「素晴らしい」「ブラボー!」など、海外から寄せられた賞賛の声ばかりだ。

   日本のネットユーザーからも、「これはすごい!」「心が癒される音色」と絶賛されており、動画の人気は公開から1か月以上たったいまも続いている。

全長44メートル、使われた鍵盤は413鍵

   ドコモ、シャープ、オリンパスが共同開発したTOUCH WOODケータイは、国産ヒノキ材をボディーに用いた携帯電話で、森林のメンテナンス時に切り出される「間伐材」をうまく活用しようというコンセプトで生まれた。

   ドコモによると、動画は森や木の良さを伝えたいという思いから制作された。装置は全長44メートルで、使われた鍵盤は413鍵。撮影は九州・福岡県嘉麻市の古処山で4日間かけて行われ、スタッフは森の中で1週間キャンプをしながら木琴を作り上げたという。

   サイトで公開されているメイキング映像を見ると、鍵盤1つ1つの形や長さ、斜面の角度など、緻密な調整が何度も繰り返されたことが分かる。完成した映像にはCGや音の後付けなどもないようだ。

   動画を手掛けた制作会社「ドリル」のクリエイティブ・ディレクター、原野守弘氏は自身のツイッターで、「心が癒される音色でした」といった感想に対し、「企画の初段階ではピタゴラみたいにもっと複雑な木琴だったんですが、一直線にするというディレクションをしました。正解だったと思う」と明かしている。

   ドコモの担当者に反響を聞くと、「心やすまる、癒される」といった声のほか、「製品のコンセプトに賛同した」などの意見が寄せられているという。動画は現在、特設サイトのみでの公開となっているが、4月24日のTBS系「夢の扉+」内では、120秒の特別版がテレビCMとして初めてオンエアされる。

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