【東北地方太平洋沖地震】ツイッターによる人の輪に感謝
2011年3月11日午後2時46分、三陸海岸沖を震源とするマグニチュード9.0の地震が発生し、気象庁はこの地震を「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」と命名しました。地震の被害に遭われた方々には心よりお見舞い申し上げると共に、皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます。

さて、本稿では、震災時にインターネットメディア、とりわけツイッターが果たした役割を見つめ、今後の教訓としたいと思います。論考にあたっては、一般的観点から見たものと、私の個人的観点から見たものを申し上げ、問題点も指摘したいと思います。

まずは一般的観点から。
この度の地震によって、建物の倒壊、火災、津波などの災害が生じ、多くの方々が避難しました。避難した方々が必要とする情報(例えば避難場所はどこであるか等)はマスコミや役所などが人々に知らせましたが、情報の周知に一役買ったのがツイッターです。
マスコミや役所はツイッター上において、避難した方々が必要とする情報をリアルタイムで流し続け、それを見た人がリツイート(ツイッターの会員ではない方に一言で説明すると、リツイートとは、他人が書いた文を拡散させることです)することで、より多くの人に情報が伝わりました。

この他、人々を元気付けるためにツイッター上で広められた美談も多くあります。
例えば、日本の無事を祈る外国人の書き込み、日本の無事を祈る外国人の姿を映したユーチューブ上のビデオ、現場で見聞きした美談、救出活動をする自衛隊員の写真、罹災者を勇気付けるために漫画家やイラストレーターが描いたイラスト等々。
公的機関による情報発信においても、個人による情報発信においても、ツイッターは威力を発揮した訳です。

但し、ツイッターによる情報の拡散に限度があることもまた事実です。
ツイッターを閲覧するためには情報機器が必要ですから、情報機器を使用不能になっている方や、情報機器に接する機会のない高齢者は、ツイッターによって情報を得ることが困難です。

また、いわゆる非公式リツイートによって情報が拡散した結果、同じ情報が大量にツイッター上に溢れ、他の情報が埋もれることがあり得た、という問題もあります。
いわゆる公式リツイートというのは、ツイッター上におけるリツイート機能を用いたもので、同じ情報は画面上に1つしか表示されないのですが、情報をコピペして引用者が一言付け加えたもの(いわゆる非公式リツイート)は画面上に同じ情報が重複して表示されることになります。ツイッターを使う時の問題点の1つが明らかになったと言えましょう。
 
次に、私個人の観点から、ツイッターの利点を申し上げます。
地震による倒壊、火災、津波などの災害にはとても胸が痛みますし、罹災地に親族や知人がいる方の心中はいかばかりかとお察し致します。
私は倒壊、火災、津波などの災害には遭わなかったので、前述のような情報をツイッター上で得る必要性はなかったのですが、福島第一原子力発電所と計画停電の報道を見る上で、ツイッターの恩恵を受けました。

12日午後3時半頃、福島第一原発1号機が爆発したというニュースは多くの人々に衝撃を与えました。私もその1人です。
テレビを注視し、詳しい情報を待ちましたが、官房長官が記者会見を行ったのが午後5時45分頃、原子力安全・保安院が記者会見を行ったのが午後6時頃、首相が記者会見を行ったのが午後8時半頃ということで、情報を待ち侘びる私は恐怖のあまりガクガク震えていました。
しかしツイッター上で知人(と言っても実際に会ったことはないんだけれども)とコミュニケーションをとり続けられたことは、大変心強いことでした。私はツイッター上の皆さんに感謝しています。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

次にツイッターの利点を感じたのは計画停電の件です。
13日午後3時半頃、経済産業大臣は記者会見を行い、翌日以降、電力が不足する可能性があるとし、計画停電を実施する可能性があると述べました。続いて午後5時頃、テレビ局は、東京電力が、計画停電を正式に発表するため記者会見を予定していると報じました。
午後8時半頃、東京電力が記者会見を実施し、テレビ局もそのことを報じましたが、この時点のテレビ報道では計画停電の全体像が分からず、東電のホームページもアクセスが集中して閲覧できない状態。しかも、この時、東電が発表した計画停電の資料は誤りを含んだものであり、再発表を待たねばなりませんでした。
午後10時過ぎの時点でも、テレビ放送や新聞社のツイッターアカウントは、東電による計画停電の発表は訂正される可能性があると指摘し、いつになったら情報が確定するのか分からない状態が続きました。東電のホームページも相変わらず閲覧できない中で、公式の最新情報を得るのに役立ったのは、やはりツイッター上で他人がリツイートした公的な情報でした。
ずっと報道を続けたテレビ局には申し訳ないものの、計画停電について、各視聴者が得たいと思った情報を得易かったのは、テレビ報道よりもインターネットであったろうと思います。但し前述のように、情報機器が使用不能になっている方や、情報機器に接する機会のない高齢者は、テレビ報道や紙媒体による新聞などに頼らざるを得ない状況でした。

以上、ツイッターをはじめとするインターネットの功績を申し上げましたが、インターネットの弊害が生じたこともまた事実であります。というのも、ツイッターやインターネット上の掲示板などでデマも飛び交ったからです。具体例を2つ挙げ、それに対する考察を申し上げたいと思います。

具体例の1つ目。
或る者が、自身の住まいをツイッター上に書き込み、救助を求めました。そしてそれを見た人は次々とリツイートしましたが、実は救助を求める書き込みは嘘であることが判明しました。
この出来事に関連し、その後、救助を求める書き込みをツイッター上で見かけた場合はリツイートせずに公的機関に通報するべきだ、と呼びかける人が現れました。
言われてみればその通りでありまして、リツイートした人が善意でやっているのは分かるのですが、リツイートという、ボタンをちょっと押すだけでできる行為をしただけで世の為人の為になることをやったつもりになってしまう、という心理状況が生じたのではないでしょうか。
勿論、私はリツイートした人を批判するつもりは毛頭ありません。

具体例の2つ目は、「石油製油所の火災によって有害物質を含んだ雨が降る」というデマです。このデマも、電子メールやインターネット上の掲示板、ツイッターによって拡散しました。

ではなぜ、このようなデマが広まるのでしょうか。理由は2つあると思います。1つは、人の善意を巧みに利用しているからです。善意でやっているからこそ、一気に拡散するのです。また、2ちゃんねるのような匿名掲示板と比べて、ツイッターや電子メールは誰が発言しているか或る程度はっきりしているので、信用してしまうのでしょう。上記2つのデマを拡散した人は善意でやっているのであって、決して責められるべきではありません。もう1つの理由は、特にツイッターに当てはまることですが、リツイート機能によって、ボタンを押すだけで簡単に情報を拡散できるからです。この機能は、前述のように、有益な情報の拡散に貢献しましたが、同時にデマの拡散を助長することになりました。インターネットが存在しない時代から流言飛語は存在しましたが、インターネットの存在によって、デマが広まるスピードや規模は飛躍したのではないでしょうか。

上記を纏めます。ツイッター等のインターネットサイトは、公的機関による情報を拡散することと、一般人同士による情報交換という2つの点で大いに貢献しました。しかしインターネットサイトは全ての人が閲覧できる訳ではないという点で万能ではないし、使い方を誤るとデマを広めることになってしまいます。故に、テレビ・新聞など他のメディアと併用して正しく使うことで大きな威力を発揮することになります。

そして最後に、私はもう1回、ツイッター上で励まし合った知人達に感謝を申し上げたい。あなた方がいなければ私の心は折れていたでしょう。
本当にありがとうございました。

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