韓国の動きが鈍かったのは、選手自身も認めている。「もうちょっと来るかなと思っていた。動きが重いなと感じた」とは長谷部である。にもかかわらず、チーム全体の走行距離で韓国に劣っている。日本のポゼッションが韓国を動かしたという見方もできるが、韓国の運動量が日本を凌駕した時間のほうが長かったというのが、個人的な感想である。

主審のジャッジに翻弄されてきた今大会だが、オーストラリアはここまでひとりの退場者を出さず、PKも与えていない。判定基準への戸惑いは彼らにも共通するはずで、そのなかでも適応していると考えるべきだ。ルールブックを読み返したくなるような判定が少なくないとしても、そのなかでいかに勝利をつかむのかに集中しなければならない。

いずれにしても、2大会ぶりのファイナルへ辿り着くことができた。「ここまで来たら優勝しないと意味がない」という本田圭の思いは、チーム全体に共通する。南アフリカW杯の最終予選で1分け1敗に終わったオーストラリアとの決戦では、戦術や戦略の側面からスリルを味わいたいものである。

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