厚生労働省が受動喫煙を防止するため、さらなる法案成立を目指している。だが、その裏にはある利権があるとジャーナリストの須田慎一郎氏は指摘する。同氏が厚労省内で勃発する利権争いについて解説する。


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 事業仕分けで予算が削られることに各省庁が警戒を強める中、厚生労働省も予算確保に躍起になっている。


 去る11月10日、東京都内のニッショーホール(日本消防会館)で厚労省労働基準局が主催する、ある公聴会が開かれた。この公聴会の目的は、職場での受動喫煙防止に関する法的義務付けを巡り、広く一般から意見を聴取するところにあった。


 ある厚労省幹部はこう話す。


「労働基準局は、職場における受動喫煙対策について法的義務を課すことを目的に調整作業を進めている最中です。公聴会もその一環で、来年の通常国会で関係法案の成立を目指すというものです」


 そして厚労省関係者によれば、来年度予算案には法案成立を前提に40億円程度の予算が盛り込まれているのだという。


 財務省幹部はこう吐き捨てる。

 

「当初の予算の要求ベースとしては僅かな額かもしれないが、一旦通ってしまえば将来的には自動的に大きく膨れあがっていくことは間違いない。こんなことだから、予算規模はドンドン大きくなっていくのだ」

 

 同幹部はこう続ける。

 

「しかし問題なのは、この“受動喫煙対策”というテーマに関してはすでに同じ厚労省の健康局が『健康増進法』を軸に積極的にそして着実に対策を進めている最中だという点。労働基準局は、『健康増進法は不特定多数を対象としたもので、新法(改正労働安全衛生法)は職場という“特定少数”を対象としたもので別種のもの』と言うのだが……」

 

 とはいえほとんどの“職場”では、健康増進法に準拠する形で対応を進めてきているのが実情だ。そのことは、当事者である厚労省自身が委託調査した報告書で、調査対象の93・1%もの職場が「何らかの喫煙対策に取り組んでいる」としていることを見ても明らかだろう。

 

 前出の財務省幹部はこう断言する。

 

「つまり旧厚生省系の部局の“成功”を見た旧労働省系の部局が、それならウチも、という形で目を付けたことは間違いない」

 

 何のことはない、要は役所の権益拡大のためのツールとして、「受動喫煙防止」という錦の御旗が利用されているにすぎないのだ。


※SAPIO2010年12月15日号





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