住信SBIネット銀行は、4年目の今期を「創業セカンドステージ」と位置づける。革新的なサービスの提供で、着実に口座数・預金量・貸出量を伸ばしている同行は、何をめざし、今後をどのように展望しているのか? 同行代表取締役の川島克哉氏に聞いた。

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 住信SBIネット銀行は、開業以来「あなたのレギュラーバンク」を標榜し、サービスを拡充。営業開始からわずか3年で黒字転換を果たした。4年目の今期を「創業セカンドステージ」と位置づける。革新的なサービスの提供で、着実に口座数・預金量・貸出量を伸ばしている同行は、何をめざし、今後をどのように展望しているのか? 同行代表取締役の川島克哉氏に聞いた。(全2回の2)

――差別化のポイントは「金利」なのか?

 金利は大事なポイントになるが、それが全てではない。たとえば、インターネットでは、「ネット証券」が個人の中で大きなシェアを得ることに成功したが、証券会社の場合は、「売買手数料率の低下」が普及のキードライバーになった。ところが、銀行の場合は、お客さまの取引形態が多岐にわたる(「預ける」「借りる」「運用する」「資金を動かす」など)ので、キードライバーが複数存在する。それぞれのキードライバーについてお客さまに評価され、また、それらが総合的に評価されるところがあり、金利や手数料だけで単純に差別化できるものではないと考えている。

 たとえば、主力商品になった住宅ローンについては、もちろん金利面でお客さまに評価いただいた側面はあるが、それ以外の部分でも満足いただいていると認識している。たとえば、団体信用生命保険や8疾病で就労不能になった場合のローン返済を保障する保険の保険料が銀行負担であるとか、住宅ローンの一部繰上げ返済が手数料なしで1円からできるなど。お客さまによって評価のポイントは異なると思うため、常に「お客さま目線で考える」ということが必要だ。住宅ローンが主力商品になったのは、その姿勢を貫いてきた結果ではないか。

 また、SBI証券との連携による「SBIハイブリッド預金」は、使い慣れた方には、ほとんど意識されないまま日常的に利用されるサービスとして定着している。毎月利払いで有利な運用ができる普通預金でありながら、その預金残高が自動的にSBI証券での株式取引等の買付余力、また、株式の信用取引の信用建て余力に反映されるという機能が加わっている。お客さまにとって利便性があり、かつ、条件の優位性があるという大きな特徴がある。このように、グループの力を生かしたり、シナジー効果のある商品や仕組みの差別化をしたサービスを提供したり、ということも強みになっている。

――ネット専業銀行として、これからの展望は?

 銀行は、あまねく多くのお客さまにご利用いただく金融機関。まだまだ、多くの方々にご利用いただけるものと考えている。日本にネット銀行が誕生して10年。当社は開業して4年目だ。先行するネット銀行の良いところは積極的に取り入れ、また後発であるだけに、先行するネット銀行の商品・サービスの中で、お客さまが満足されていないものは何かを常に意識し、お客さまの期待に応える商品・サービスの提供を追求する。真に必要とされているサービスをタイムリーにリリースしていくことと、既存サービスを改善しよりお客さまの満足度を高めることが、われわれにとって一番大事であると考えている。

 現在、約90万人のお客さまにご利用いただいているが、まだスタートラインに立ったばかり。少しでも多くの方に、われわれを使っていただけるように不断に努力していかなければいけない。銀行は一般的に敷居が高いというイメージがあるかもしれないが、リアルの銀行と比べてネットの銀行は、随分と敷居が低いと思う。たとえば銀行の口座開設をするためにわざわざ店舗に出かけていかなくても良いし、印鑑も必要ない。24時間365日、インターネットで申込が可能だ。

 また、住宅ローンも銀行の窓口に通うようなことなく、メールと郵送だけで完結する。このような簡便性は浸透してきていると思う。お客さまには、いろんなニーズがある。「いつでも」「どこでも」使いやすいサービスを提供し、お客さまのライフスタイルやライフステージにマッチした商品・サービスを提供し続けることで、お客さまに満足していただける。結果として、当社を身近に感じ、利用していただける方が増えてくると思う。

――「お客さまの満足度を高める」というが、その具体策は?

 たとえば、顧客満足度調査は、第三者機関の調査も含め、その結果を重要視している。またメールやコールセンターへの電話を通じて、お客さまのご意見やご要望が日々入ってくるが、このような声を大切にしている。たとえば、当日のクレームは、翌朝には役員を含めた全社員が共有している。「電話がつながるまで時間がかかった」「他の銀行ではできているサービスが、何故できないのか?」など、内容は様々だが、それらを速やかに解決するための会議を毎週開催している。中には耳の痛いクレームもあり、われわれの商品・サービスレベルは決して100%ではないことを日々認識しながら業務に取り組んでいる。

 実際に、他のネット銀行が10年でやったことを3年でキャッチアップしようとやってきたが、至らない点はある。「住信SBIネット銀行は、条件はいいけど、サービスが不十分」という評価を頂くようではいけないと思っている。これからもネット銀行として、間接コストを抑えた部分をお客さまに還元し、質の高い商品・サービスを提供し、さらにお客さま対応でも伝統的な銀行に負けないようにしていきたい。(おわり)(編集担当:風間浩)



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