牛丼チェーン「すき家」(株式会社ゼンショー)の仙台泉店で働く3人のアルバイト従業員と労働組合の粘り強いたたかいが、大企業を動かしました。

 ゼンショーは働いた分の賃金を法律通り払うという当然のことをせず、是正を求められても詭弁(きべん)をろうして拒否してきました。しかし従業員が組合の仲間たちと不当な攻撃を乗り越えて裁判をたたかった結果、ゼンショーは未払い残業代など請求額99万円余の支払いをすべて認めました。10日の東京地裁の結審を前にして、従業員側の勝利が確定しました。

バイトは労働者でない?

 売上高3千億円を超える大企業が、アルバイトに長時間労働を強いた上に残業代を法律通り払わない―。とても許されることではありません。

 未払い残業代などを支払うよう求めて東京地裁に訴えていたのは、1人でも参加できる労働組合「首都圏青年ユニオン」に加入する3人のアルバイト従業員です。

 会社は3人が組合を通じて求めた話し合いを拒否してきました。組合は団交拒否の不当労働行為として東京都労働委員会に救済を申し立てましたが、会社は審理の引き延ばしにかかりました。そのために賃金の時効(2年)を迎えることとなり、3人はやむにやまれず裁判に訴えていました。

 「法律通り賃金を払ってほしい」「話し合いに応じてほしい」―。当たり前の要求を拒否する理由として会社が持ち出したのは「首都圏ユニオンは労働組合ではない」「アルバイトは労働者ではない」など、詭弁そのものです。

 都労委は昨年10月、会社の主張を却下し、会社に団体交渉を行うよう命令しました。都労委はユニオンが労働組合法上の組合として問題がなく、アルバイト従業員が会社と労働契約関係にあることは明らかだとする明快な判断を示しました。会社はこれを不服として中央労働委に再審査を申し立てましたが、中労委は先月26日、会社の申し立てを棄却しています。全面敗訴を覚悟した会社は請求額の支払いに追い込まれました。

 裁判でも会社は不合理な主張に終始し、裁判所から「時給で働く人間を業務委託契約と主張するのはいかがなものか」などと指摘を受けていました。

 「アルバイトは労働者ではない」という会社の主張は、アルバイトが勤務シフト表を自分たちで作って勤務日などを決めているのだから、雇用契約ではなくて請負契約に近い「業務委託契約」だというこじつけです。「すき家」ホームページのアルバイト募集情報を見ても、どこにも「業務委託」などという言葉はでてきません。勤務シフトの調整をアルバイト任せにしている職場もざらにあります。こんな詭弁が通ったら日本から労働者の大半が消えてしまいます。

誰にも起こりうる事件

 原告弁護団がのべているように、「これは働く者、誰にでも起こりうる事件」です。

 非正規の多くの労働者は劣悪な労働条件とぎりぎりの生活の中で孤立させられています。

 しかし、人とつながり労働組合とつながることで状況を変え、声をあげてたたかうことで大企業を動かすこともできる―。それを「すき家」のアルバイト従業員の勝利は示しています。