――6曲目の「I Sing」に「どんなに進化したって なくしちゃいけないものがある」という歌詞がありますが、ブログやTwitterなどインターネットを通じた情報伝達が進化した現代において、コミュニケーションや人の繋がりが希薄になったと感じますか?

大田:僕はあまり人付き合いが上手い方ではないので、基本的に嫌いですね(笑)。電話とかメールはしますけど、自分一人だったら、正直ブログもTwitterもやらないような人だと思うんですよ。例えば、僕の友達が田舎とか色んな所でブログをやってるんですけど、そこに僕はdoaの一員だって書き込みもしないですし、Twitterをやっててもフォローもしてないですし、ただ見てるだけなんです(笑)。でも、メールとか電話だったら年に1回とか2回しか出来ないのに、ブログを見たら毎日その人が生きてて何をしてるかが分かるじゃないですか。それは楽しいですよね。「元気にやってんだな」と思ったら、自分も頑張らなきゃと思うし、励みになりますね。

吉本:そういうものが無ければ絶対に繋がることの無かった人達が繋がったり、本当に良いモノが良いモノだと配信されたりするのはいいと思いますけどね。でも、直接顔を見て喋るのが1番だと思うんですけどね。例えばメールの文章でも、感情が見えないから、用件だけを伝えるメールもつっけんどんになってしまったり、表現ってすごく難しいと思いますね。口ではなかなか言えなかったことが文章だったら簡単に言えてしまうので、物をハッキリ言えないヤツが増えてるんじゃないかとも思うし。仕事でも、変なメールが来て「どういう意味?」「いや、こういう意味です」「それだったら口で言ってくれないかな?」とか、そういうトラブルはどこでもよくあるでしょうね。

徳永:僕は、そういうものはどんどんやった方がいいと思うんだけど、心の中に置いておいた方がいいものは絶対にあると思うんですよ。今はどこでも、ちょっとムカついたらつぶやけるし、出せ過ぎちゃってるから、「出しちゃったら勿体無いじゃん」って思うんですよね。「ムカついた」ってどこかで出して関係が希薄になっちゃったら、その人に次会った時にあまりムカついてなかったりするかもしれないでしょ。だから、僕は久しぶりに会う人のブログは見ないんですよ。見ちゃったら「お前、昨日海に行ったんだって?」ってなっちゃうけど、「お前最近どうよ?焼けたじゃん!」「海に行ったんだ!どこの海?」ってなる自分のワクワクとかをとっておきたいし、自分の言いたいこともとっておいて、例えば歌にしたり。人類がみんな置いておく部分と出す部分とを分かってくれば、そういうものはどんどん使って、広がって行ったらいいんじゃないのかな。

吉本:僕らは大人になってから、そういうものが出てきてるじゃないですか。だから、そういう部分で判断が出来るけど、子供の頃からそれがあれば多分、考え方が全然違うと思うんですよ。口に出さなくても、「アイツ、ムカつく。」とか陰で書いて。でも、それは絶対に口では言えない声になっちゃうと思うんですよね。だから、本当に良し悪しですけどね。

――9曲目に「大人ラプソディー」という曲がありますが、doaの皆さんは自分自身を“大人”だと思いますか? ブログだけ見てると、たまに子供みたいにはしゃいでますけど(笑)。

徳永:「オッサンだなぁ」と思う時はある(笑)。

大田:僕から見ると、2人の方が全然大人だなと思いますね。色々しっかりしてますよ。多分、僕が1番子供。

徳永:逆転してるかもしれない。吉本君が1番大人っぽい感じがする(笑)。「大人ラプソディー」の歌詞を書いた時、日曜の朝とかに戦隊モノがやってるじゃないですか。子供から見たら正義の味方はすごく格好いいし、正しくて追い掛ける姿ですけど、悪役の方って毎週ヤラレてコテンパンになるのが分かっていながら、それでも立ち向かってくるじゃないですか(笑)。悪役の健気さが現代社会の大人に似てるというか、「アイツらの気持ち、ちょっと分かるかも」と思って、そこから歌詞を掘り下げて考えたりしたんです。子供から見たら大人は悪役に見えるかもしれないけど、悪役は悪役なりに自分のポリシーを持ってたり、「すげぇ頑張ってるんだぞ!」という気がします。「悪役、頑張れ!」って初めて思った自分に、「大人になったかも」と思いましたね。

大田:でも、あの人達は悪いことをしてるんですよ。

吉本:地球を征服しようとしてね。

徳永:ある意味、大人はみんな色々征服しようとするじゃないですか(笑)。

――「俺たちは まだ負け犬なんかじゃない」という歌詞がありますが、“負け犬”ってどんな人のイメージですか?

徳永:誰でもみんな、どこかで諦めちゃってる部分とかあるじゃないですか。僕自身も「もうこれはダメだな」とか、いっぱいあるんですけど。自分の中の負け犬要素を全て集約して、一応「負け犬じゃない」と言ってて。可能性の裏返しの言葉かな。