かつて、競馬の世界では調教師になる人といえば騎手出身か、あるいは調教師の血縁者がほとんどでした。しかし、栗東トレーニングセンターに厩舎を構える白井壽昭調教師は大学を卒業して厩務員になり、そこから調教助手を経て調教師になったという異色の経歴を持っています。

日本ダービー調教公開栗東トレーニングセンター見学に続いては、これまでに天皇賞春と秋を連覇したスペシャルウィークや芝・ダート問わず活躍したアグネスデジタルなどを管理した白井師の厩舎を訪れることができました。

厩舎ではこれまでに白井師が獲得した賞状や優勝レイの一部のほか、白井師が馬を管理するときのちょっとした話なども聞くことができました。

詳細は以下から。
トレセン内を厩舎に向けて移動中に見かけた標識、「馬最優先」。競走馬のトレーニングセンターなので、車よりも馬が優先なのです。

ということで、白井厩舎に到着。栗東のトレーニングセンターは施設を更新中で、白井厩舎はすでに新しい建物になっていました。

なにやら装蹄中の様子。

厩舎に置いてある賞状や優勝レイを見せてもらいました。これはダンスパートナーが勝った第56回オークス(1995年)のもの。

入口横にある第65回日本ダービーのレイ、優勝馬はスペシャルウィーク。

1999年には最多賞金獲得調教師賞を受賞しています。

その1999年に行われた第119回天皇賞(春)のレイ。優勝馬はスペシャルウィーク。

同年の第120回天皇賞(秋)、優勝馬はまたもスペシャルウィーク。天皇賞連覇は1988年のタマモクロス以来のことでした。

白井師と第19回ジャパンカップ優勝レイ。優勝馬はもちろんスペシャルウィーク。この年、スペシャルウィークはGIを5戦3勝、2着2回という好成績を残します。

その隣に第124回天皇賞(秋)のレイ、優勝馬はアグネスデジタル。

スペシャルウィークの蹄鉄。

アグネスデジタルのゼッケン。あまりにさりげなく置かれていて、ソファーのカバーかと思いました……。

さっそく見せてもらったのは、今年の京都金杯を勝ったライブコンサート。ちなみに、白井師はこれで16年連続重賞勝利(1995年以来)。


厩舎内には現役馬、そしてこれからデビューを迎える2歳馬が待っていました。

これは2歳馬・ホウショウキング

YouTube - 白井壽昭厩舎の2歳馬・ホウショウキング

仲の良さそうなピサノアルハンブラピサノロダン。この2頭は兄弟です。

YouTube - 白井厩舎のピサノアルハンブラ・ピサノロダン兄弟

与えているエサはニンジン、そしてバナナ。

調教に使う道具いろいろ。

馬はほんとに個性的。カメラを向けてもおとなしくじっとしている馬から寝ていて起きてこない馬、カメラに興味津々で迫ってくる馬までいろいろです。

どこを見ているのでしょうか。

ニンジン大好き。

編み込んだたてがみが特徴。

思いっきりカメラ目線。

しかし性格はやんちゃ。これは結構本気で噛みに行ってます。

このあと、白井調教師の話を伺うことができました。序文にも書きましたが、白井調教師はこの世界には珍しく大学を卒業してからコネもなく飛び込んだタイプ。子どもの頃から馬は好きで、体も小さかったことから騎手になりたいと思っていたそうなのですが、兄弟は多くても一人息子だったため両親が進学を望み、一度は競馬の世界を諦めました。しかし、こっそりと牧場へ行ったりして思いはより強くなり、大学3年のときに厩務員試験を受けたそうです。このとき、まだ学生じゃないかと怒られ、もしやる気があるのならもう一度受けに来いと言われたので大学を卒業してから試験を受けて合格し、厩務員になったそうです。ちなみに、この試験では「ダービー馬の調教師になりたい」と将来の夢を語り、試験官に「これまでそんなことを言ったやつは見たことがない」と言われたとか。

厩務員として上田武司厩舎についた白井調教師は5年で調教助手になり、10年で調教師免許を取得、独立しました。それまで騎手引退者でなければとても調教師にはなれませんでしたが、シンザンの厩務員だった中尾謙太郎さんが調教師になって道を開いていたおかげでなれたそうです。調教師としてはダンスパートナー、スペシャルウィーク、アグネスデジタルなどを管理。スペシャルウィークは気性の激しい馬が多いサンデーサイレンス産駒の中では穏やかな子だったとのこと。これは、スペシャルウィークが母を生後すぐに亡くし、トロッターに育てられたからではないかと白井師は語りました。

さらに白井師のトークは盛り上がり、馬体重を重視する師らしく「馬体重がプラスマイナス10kgしているような時はちょっと考えた方がいい」などと馬券を買うヒントになりそうなことまで教えてもらいました。

最後は乗馬苑での乗馬体験。

ここにいる乗馬はみんな元競走馬たち。その中でもこのアタラクシアは2000年の日本ダービーで3着に入ったというなかなかすごい馬です。ちなみに優勝馬はアグネスフライト、2着はエアシャカール

朝5時40分に集合だったので、終了時にはお昼をちょっと過ぎたぐらいでしたが、なんだか丸1日かけて遊び回ったような満足感でした。実際に馬券を買っているという人はもちろん、ゲームでしか競馬を知らないような人でもかなり楽しめるイベントなので、機会があれば申し込んでみて下さい。現在は6/23(水)実施のツアーを美浦トレセン栗東トレセンでそれぞれ募集しています。

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