「どうしてだ? 悪いが、あなたはそう信じているのか?」。チャンピオンズリーグ決勝でインテルが攻めに出てくるかと尋ねられると、バイエルン・ミュンヘンのルイス・ファン・ハール監督はこのように答えた。彼は、サンチャゴ・ベルナベウで対戦するチームが、自分たちとは大きく異なる特徴を持っていると考えている。組織的で、まとまっており、堅固で、守備的なチームと戦うと予想しているのである。

V・ハール監督の言葉を借りれば、彼の“弟子”であるジョゼ・モウリーニョ監督が率いるインテルは、「一つだけのブロックのように動くチーム」という。

「インテルで最も私が称賛しているクオリティーは、勝者のメンタリティーだよ。目標に向かっていく指揮官の手腕が見てとれる。モウリーニョはずっとそうだった。バルセロナで私のアシスタントだったころからね。彼は何としてでも勝ちたいんだ。その能力によって、彼はこれだけ高いところまで来たんだよ。私も驚かされた。才能があるのは分かっていたが、これだけ早くキャリアップするとは思っていなかったよ」

だが、自身とモウリーニョ監督との比較について話が及ぶと、V・ハール監督は厳しさも出しながら、次のように明言している。

「私と彼の指揮の仕方で唯一共通しているのが、選手たちに対する姿勢だね。我々は自分たちがボスだということを分かっている。ただ、ジョゼはただ勝ちたいだけだ。一方の私は、観客を楽しませることも考えている。それは二の次となるような要素ではないよ」

昨年はAZを率いてオランダ王者に輝き、今年はバイエルンでブンデスリーガを制したV・ハール監督。だが、彼には決まったアイディアがある。見ている人たちを楽しませながらトロフィーを獲得するということだ。それが彼の信念なのである。

「プレーのクオリティーをケアするということは、結果に無関心になるという意味でない。私はトータルフットボールの生みの親、リヌス・ミケルスの信奉者と考えられている。1970年代にちょとした勝利を得た人のことだ。違うかい? 私がモウリーニョと比べてより難しい道を選んでいるのは確かだよ。そしてそれはリスキーなことでもある。ときに勝利はすぐに訪れず、ベンチの座が揺らぎ始めるものだからね」

つまり、モウリーニョ監督の具体性は好きだが、イタリア王者のプレーの本質はそうではないということだ。そして、バイエルンのオランダ人選手たちも同じように考えている。キャプテンを務めるMFマルク・ファン・ボメルは、「バルセロナでのインテルはサッカーの素晴らしさを提供しなかった。ただ、理解すべきことはある。ほかにどうやって勝ち抜くことができただろうか?」とコメント。MFアリエン・ロッベンも「インテルの最大の能力は、戦う力だよ。彼らは11人の戦士で、集団とは何かを知っている。モウリーニョが教えたんだ。彼は本物のボスだからね。彼がしゃべれば全員が黙る。チェルシー時代に一緒だったから、何かしらのことは知っているんだ」と話している。