――アーティスト坂本真綾として、音楽活動を15年続けて来られた理由は何故だと思いますか?

坂本:一言で言うと、好きだったからだと思いますね。役者としての、自分ではない者になれる楽しさは、ある種コンプレックスから来ているのかもしれないと思っていて。自分はつまらない人間だとか、オリジナリティが無いという想いがずっとあって。だから、別者になれちゃうことが、自分にとって解放の場だったんですね。

だけど、音楽と出会ってからは、また改めて自分に帰って来なきゃいけない。全てが個人に帰って来ちゃう場で、それがしんどい時もあるんですけど。色んな役を演じて、何色なのか分からないと思っていた自分が、坂本真綾として表現できることとか、言いたいことを発していける場だったので。

この二つが揃った時に本当にすごくバランスがとれて、どっちが大事とかではなくて、音楽と役者の両方があるから、今までやってこれたと思うんですね。音楽で得たものが、書くことだったり、役者としてだったり、色んな場面で生きてくることもあったし、その逆もあったし。私の場合は広く色んな形で自己表現できたことが、これだけ長く続けられた要因なのかもしれないなと思います。

――普段はインターネットの他、テレビ、ラジオ、雑誌、新聞など、どこから情報を得ることが多いですか?

坂本:まず、テレビはほとんどつけないので、昔はラジオっ子だったんですよ。でも、今は外で仕事していることが多くなって、スタジオに入っていて、「そういえば、アレ何だっけ?」みたいな時にすぐ調べられるので、ネットが繋がっていないと不便を感じるようになりましたね。結局一日テレビもつけず、ずっとスタジオにいてニュースも見なかった、みたいなこともいっぱいあるので。ニュースもネットで見るようになったのは本当にここ最近の習慣ですけどね。それまでは、「あそこのお店何だっけ?」「ちょっと待って」みたいな、すぐにノートパソコンを開いて調べる人がいるじゃないですか。「何それ?今っぽい、もうすごく嫌」みたいな批判的な目で見ていたのに、最近は自分がそういう風になってきちゃって、「現代人なんだわ、私」とか思うようになりました(笑)。

――ファッションの他、部屋のインテリアで色や形など、こういう傾向の物が多いというのはありますか?

坂本:本当に男の部屋みたいだなと思うぐらい、あまり可愛い物とかは無いんです。女の子の部屋に行くと、みんな人形とかがあったり、可愛く「女子!」という感じがすごく緊張しますね。「こういう部屋、ドラマとかで見たことがある!」みたいな所に住んでいる人に比べると、特に飾り気のない、木目みたいなナチュラルなものが多いです。ただ、本がすごくいっぱいあるので、家の中が本屋みたいになっていますね(笑)。

――お仕事から頭を切り離してリラックスしたい時にすることや、自分にとっての癒しはありますか?

坂本:私もそれを知りたいですね(笑)。休むということがよく分からなくて、休みの日も全く自分をオフにするやり方が分からないんですよね。本を読むのが好きで、ストレス解消にもなるので、読んでいる時はもちろんその世界に没頭できるんですけど。どこかでそこにインスパイアされて、表現に生かそうと思っていたり、そこから何か考えさせられたりしていて、常にどこか自分の仕事に結びつけちゃうので。でも、「とにかく、ちょっと切り離さなきゃいけないな」と思って、去年ヨーロッパに一人旅で5週間行って来ました。旅行とか特に一人で行くのが好きですけど、国内でも行ける時はポッと行ってみたり。