(写真)咲洲地区にあるWTCビルとその周辺

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 今年2月で就任2年を過ぎた大阪府の橋下徹知事。“改革のリーダー”などとメディアにもてはやされていますが、橋下知事がやろうとしていることは、すでに破たんした開発優先・大企業支援のための自治体づくりの復活であり、また、あらゆる分野への「競争」の持ち込みです。(大阪府・小浜明代)

 「中小企業に(お金を)ばらまいても大企業に競争力をつけさせないと中小企業の売り上げは伸びない」

 府議会での橋下知事の答弁です(3月3日)。日本共産党の、くち原亮府議が、東大阪市の中小企業の売り上げ激減の実態を語りながら、「いま知事がやるべきは自ら大企業に赴き、巨額の内部留保を社会と府民に還元させ、正規雇用の拡大や中小企業の下請け単価を保障するよう直談判することだ」と要求したことにたいする答弁でした。

 “大企業を応援すれば、家計や中小企業にいずれカネがまわり経済は成長する”というのは自民、公明政権のときからさんざんいわれてきました。しかし、大企業が空前の利益を伸ばしても、巨額の内部留保がため込まれ、中小企業、国民の間で貧困と格差を拡大したのがこの10年余りでした。

 大企業の競争力支援のために橋下知事がすすめようとしているのは何か―。

 伊丹空港廃港・関西空港のスーパーハブ空港(基幹的空港)化とリニア新幹線構想、企業呼び込み方式の開発が破たんした大阪市の「咲洲(さきしま)」地区再開発とその“起爆剤”としての大阪ワールドトレードセンタービル(WTC)への府庁移転、現府庁周辺(大阪市中央区大手前)再開発、高速道路建設などです。

「司令官1人」

 こうした大きな問題を抱えた大型開発を推進するため、橋下知事は1月初旬から、「大阪府と大阪市の解体・再編」「司令官を1人に」とまで言い出しました。

 この知事の姿勢について日本共産党は、「『地域主権』などと言うが、その内容は空港や高速道路、鉄道などの破たんした開発を知事がやりたいように進めたいがためだ。府市再編もそのためで、住民主権ではない」と厳しく批判しています。

 橋下知事は府政の各分野で「競争する」ことを府民に求めています。

 際立つのは「教育日本一」をかかげる教育の分野です。府独自のいっせい学力テストの実施や、公立高校10校を東大や京大などをめざす進学指導特色校にするとしています。

 「競争を激化させ、子どもたちの心を傷つける」と批判する日本共産党に対し、橋下知事は、「国際社会は食うか食われるかの激烈な競争。どんなことがあっても競争させる」と持論をまくしたてました。

 私学授業料の無償化(年収350万円以下)を独自に実施することについても、それ自体、必要なことですが、橋下知事は「公私間で競争し、生徒が集まらない学校は退場してもらう」と公言しています。

 府民の生活は新政権のもとでも深刻さを増しています。大阪府の昨年10〜12月の失業率は7・2%で全国最悪です。府内の今春卒業予定の高校生の就職内定率は67・9%(昨年末)で全国ワースト5位です。

府民応援こそ

 ところが橋下知事は、就職できなかった高校生を府が短期雇用することや、在阪の大企業にたいし、正規雇用の拡大や中小企業への下請け単価を保障するよう直談判をしてほしいという提案を拒否。中小企業が借りている町工場の家賃などへの補助の要求にも「お金がない」といって拒否しています。

 一方、2010年度予算案では、WTCビルの買い取り(117億円)や、関西空港関連事業(23億円)、安威(あい)川ダム建設(70億円)、阪神高速大和川線、ニュータウン(「箕面森町」)開発など、無駄な大型開発は従来通り継続しています。

 「港湾、空港、高速道路、鉄道などをどうするか、寝ても覚めても考えている」(2月22日、平松大阪市長との意見交換会)という橋下知事。

 先の代表質問で、くち原府議はこう主張しました。

 「今必要なのは、わずか数分程度の時間を短縮するための高速道路や鉄道建設に3000億円、4000億円の巨額の税金をつぎ込むことではない。深刻な暮らしを強いられている府民をしっかり応援することに知恵と力を尽くすことだ」