「あれじゃ、トヨタが可哀相だ」

プリウスは、(技術面で見れば)リコールする必要などない」

 日本の自動車業界関係者、特に技術系の関係者から「トヨタ擁護」の声を多く聞く。

 2010年2月第1週、先端自動車用蓄電池の国際会議AABC Europe(ドイツ・マインツ市)。ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車の技術のカギとなる、リチウムイオン二次電池について日欧企業から様々な発表があった。

 同時期、フィナンシャルタイムズ独版のトップ記事にトヨタ・リコール問題が大きく取り上げられていた。だが、同会議開催中、筆者が直接話した日米欧各国の自動車部品、蓄電池、素材などのメーカー関係者の中で、今回の一連のトヨタ・リコール問題について、特にプリウスの案件について「トヨタが一方的に悪い」と答えた人はほとんどいなかった。

 翌週、筆者が日本に立ち寄り、様々な立場の自動車業界関係者と会っても、やはりトヨタ・リコール問題、特にプリウスの件については「リコールする必要はない」という声が多かった。


東京のディーラーで修理中のプリウスのリコール車に群がる報道陣
Photo(c)AP Images

 筆者は当初、一連のトヨタ・リコール問題について、北米現地での取材をさらに進めた上で自分の意見をまとめ、本連載で記事化しようと考えていた。ところが、プリウスのリコール実施前後から、日本メディアによる明らかな「トヨタ・ネガティブキャンペーン」が見受けられ、それが米国メディア報道と「負の連鎖」を起こし、「実態を超越した社会現象」に発展した。こうした日本での報道姿勢には、疑問に加えて、日本の将来への不安を覚えた。

 そうした中、大阪の読売テレビからダイヤモンド社を通じて筆者に、トヨタ・リコール問題と日本の自動車業界の行方についてコメント取材の打診が来た。当該収録分は、2月13日(土)8:00~9:30am「ウエークアップ!ぷらす」(日本テレビ系全国25局ネット・司会:辛坊治郎氏)の中で放映された。その内容(=編集手法)については、筆者は十分に納得出来たが、時間的制約でカットされた部分に、筆者の抱いている「トヨタリコール問題の本質」がある。

 本稿では、筆者のトヨタに関する過去の取材経験をもとにして、トヨタ・リコール問題の本質を探る。

 まず一連のトヨタ・リコール問題の流れは、大きく3段階に分けて検証する必要がある。

 注目すべき点は、最初の2段階と、最後の1段階(=プリウス・ブレーキ問題)は「別次元の問題」であるということだ。

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