大阪府の橋下徹知事が知事に就任してから2年が経過したが、府民の人気は衰えを知らず、メディアの調査では支持率が80%を超えた。最も高い評価がリーダーシップ。激しい反発があったにも関わらず、公務員の給与を平均11・5%引き下げたほか、2年間で2400億円あまりの行政の無駄を排除し2008年度には11年ぶりに黒字転換を果たした。

   国の直轄事業の地方負担金の請求に対し「まるでぼったくりバー」、関西3空港の問題については「民主党には理念がない。うそ八百だ」、全国学力調査の結果を公表しない市町村の教育委員会に対しては、「クソ教育委員会」など、歯に衣着せぬ「橋下劇場」。こんな痛快なパフォーマンスも高い支持率の原因とも言われる。そうした中で、専門家は政策などを評価しつつ、異常に高い支持率に警鐘を鳴らす。この人気、いったいいつまで続くのか。

「テレビに積極的に出演して欲しい」82%

   朝日新聞と朝日放送が共同で10年1月30日と31日に電話で世論調査したところ、橋下知事の支持率は79%、不支持率は10%だった。読売新聞社も府内の有権者を対象にした世論調査結果を発表。10年1月22日〜24日に実施したもので、橋下知事を「支持する」と回答したのは83%。1年前は82%。「支持しない」は11%で、1年前は10%だった。朝日新聞によれば、04年7月、07年7月に行った世論調査で、全国の知事の支持率の平均はそれぞれ53%、56%。人気の石原慎太郎・東京都知事でさえ09年7月の調査で52%だから、いかに橋下知事人気の「異常」ぶりがわかる。

   なぜこれだけ支持率が高いのか。読売新聞調査によれば、支持理由で「指導力がある」が64%でトップ。「政策に期待できる」は49%となり、この2年間の政治活動が評価されていることがわかる。ただし、「公約を守っている」は12%だった。また、橋下知事は、10年1月末までの1年間で情報、バラエティー番組に計78回登場した。テレビ番組に出演し府政をPRすることについて「積極的にやるべきだ」が82%、「控えるべきだ」が14%という結果になった。

リーダーシップと政策の両方が評価?

   山梨学院大学の江藤俊昭法学部政治行政学科教授によれば、これまで、改革派として登場した知事の多くは既存の慣例を打破することなく任期を終えたが、橋下知事は府民の目に見える形で慣例を打ち破り行政を進めている。リーダーシップがあるだけでなく、調査にある「政策に期待できる」の49%は高い数字で、リーダーシップと政策の両方が評価されているとし、府知事として盤石な形だと分析している。

   ただし「83%というのは異常な数字であり危険もはらんでいる」と指摘する。橋下知事がメディアに対し「僕らの仕事は支持率がある意味すべて」と語ったことは、「ファシズム的なものに通じる心配もある」ともいう。知事の場合は首相とは異なり、独自に行動し決定できる権力を持っている。橋下知事の政治手法を見ると独断専行型で、それを許しているのは府議会が機能していないからだとも話している。

「議会の発信が弱いために支持率が83%になってしまう。それは民主主義の形ではないんです。知事と議会が競ってこそより正しい方向に進みますし、地方分権の時代を目指しているわけですから、橋下知事も議会の活用を真剣に考えるべきなのではないでしょうか」

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