たむらぱん(撮影:野原誠治)
 昨年6月に発売したセカンドアルバム「ノウニウノウン」から8ヶ月、2月10日にニューシングル「バンブー/マウンテン」を発売した、たむらぱん。独特の世界観で時にシリアスに、時にコミカルに歌声を響かせる彼女の楽曲には、人生を幸せに過ごすためのヒントが満載。“強さ”とは?“人生”とは?“幸福”とは? その答えは、自分の中に隠されていることに気付かせてくれる、心の処方箋となる一枚。

――「バンブー」の「朝六時に起きて 電車七時に乗って」という会社員のような歌詞は、誰かの話だったり題材があったんですか?

たむらぱん:自分の中での“日常”という所で、一番イメージしやすいものからですね。「誰か」というよりは、テレビでよく映るようなシーンです。最初の頃から、この「朝何時、何時」という歌詞の表現は出てきていたんですけど、すごく考え過ぎてしまって。「朝六時に起きて、会社に行く」というのを、みんなが当たり前のようにそんな仕事をしているように書くのはどうなのか?とか。そもそも、私は「六時〜」という暮らしをしていないし、そういう人が書くのはどうなのか?とか、自分以外の人に何かを見せることに対して、すごく慎重になっていって、どうしていいか分からなくなっちゃったりしていたんですけど、「考え過ぎだ!」と一言バッサリ言われたので、「そうなのかー」と思って(笑)。

音楽という娯楽として考えているから、考え過ぎなのかな?と思った部分もあったし、自分の中でそういう意識があるだけでもいいのかなと。全くの無関心で書いたのと、一通りでもそういうことをイメージしたり考え込んだりした挙げ句に書いたのとでは違うだろうな、と思ったので。そういう経緯を経て、この歌詞に落ち着きました。

――聴く人のことを考えずに、一方的に自分のことだけを言いたければ、そもそもこういう内容の歌詞にはならないと思うし、ここが言いたいことの全てではないと思いますしね。

たむらぱん:そうですね。まだ出だしに過ぎないんですけど、いきなりつまずいちゃったんです(笑)。

――なぜ、歌詞の最後は「笑え」で終わらせたんですか?

たむらぱん:今回の曲って…今回の曲“も”と言えるかもしれないんですけど、今いる場所とか、今やっていることが例え繰り返しだったとしても、“今”が素晴らしいと思えるというか。ささやかなことだったり、すごく近くのことを見ていた方が、幸せを感じられるというか、それが簡単にできるという想いも込めたんですよ。

今回は“強さ”がテーマで、しなやかに生きる強さと、自分を信用する強さというか。自分のことを「素晴らしい」とはなかなか言いにくいけど(笑)、言っちゃえる強さというか。“自分の今が素晴らしいと思える強さ”を描けたらなと思っていたので。そのためにも、すごく簡単で、単純な所を掘り起こしていくことが大事なのかなと思ったんです。強引だとしても、「笑う」ことは、すごく簡単に、ちょっと幸せになれる感じがするキーワードだなと思って。だから、最後に載っけたんです。

――過去を振り返って、自分自身が強くなったと感じることはありますか?

たむらぱん:こういう曲を書いたのも多分そうだと思うんですけど、基本的に今、自分がこうやっていることって、辞めなかったり諦めなかったことの結果だと思っているんですよ。「続けることって結構、大変かもしれない」と思ったし、それを出来た自分は「頑張ったな」と言えると思うんです。でも、何故それが出来たかというと、「なんとかなるか」という、ちょっとしたユルさも、もしかしたら大きかったなと思って。“頑な過ぎない感じ”というんですかね。対応していったからこそ、というのはあるのかな?とは思いますね。