日本中が注目する09年競馬の総決算、有馬記念。それに先立ち、美浦トレーニングセンターでは23日に共同記者会見が行われた。

 その会見、ブエナビスタに騎乗する横山典弘へのインタビューにおいて、苦い思いを感じるやり取りがあった。
「ブエナビスタへのイメージは?」「初めての中山コースですが?」「どんな乗り方を?」……。矢継ぎ早に飛ぶインタビュアーからの質問に、憮然とした表情で「いい馬だと思います」、「有馬記念は東京じゃないから」、「まだ決めてない」と、その回答は淡々としたもの。これにはインタビュアーもタジタジだった。

 "横山典らしい"といえばそれまでだが、憮然とした理由は単純明快。ブエナビスタが一流馬だということは周知の通りで、騎乗経験がない横山典は下手なことは言えないし、話せることもない。それでも、インタビュアーは力強いコメントを聞きだそうとしたが、これが逆効果。あからさまに怒りこそ出さなかったが、半ば呆れ顔のままで、共同記者会見は、"失敗"に終わってしまった。

 騎手とマスコミ。この双方の関係性を探ってみると実に面白い。騎手のコメントをマスコミが世の中に発信するのだが、そこは騎手も人間。信頼できる記者もいれば、嫌いな記者もいる。当然、嫌いな記者には多くをしゃべらないし、信頼できる記者には本音で話す。いかに騎手と上手く付き合うかで新聞の良し悪しが決まる、とまでは言わないが、それでも記者たちは本音を聞き出すために見えない努力を重ねているのは事実だ。

その結果、"大穴"馬券を射止めることもあるようで、新聞の馬柱でポツンとひとつ◎がついている時は、その記者が激アツ情報を入手している可能性が高い。その本命馬に信頼関係の深い騎手が騎乗していれば、なおのことだ。

記者と騎手の信頼関係は、新聞を読んでいれば意外と簡単に見つけられるもので、各記者のコラムで頻繁に登場している関係者は、まず良い信頼関係を築いていると思っていいだろう。騎手と記者の関係――そういった視点からの馬券攻略も、競馬の楽しみ方だ。横山典に話は戻るが、トレセンでは普段、"一見さんお断り"のオーラを醸し出す彼だが、実際は質問の内容によっては、しっかりと受け答えしてくれるタイプ。今回の記者会見は、やはり質問の内容が勉強不足で無神経だったとしか言いようがないだろう。