「非モテ」といえば、恋愛したいのに異性にモテない人、のはずだったが、最近「自主的にモテたくない人」を指す言葉に変化しているのだという。異性に興味はないが、性欲はあり、異性ではない別の何かで興奮する、といった人たちだ。

   「非モテ」な人々が集うコミュニティーサイト「非モテSNS」はモテない人達が集まり傷を舐めあうSNSとして2008年11月に誕生した。参加者に科せられた特別ルールは2つ。日記に書くのはモテなかった悲惨な話であること。そして、彼女や彼氏ができたら即退会しなければならない。会員は3万人になったが、実は、急増しているのが「そもそも恋人なんて欲しくない人」なのだという。

「女性に生活のリズムを崩されたくない」

「そんなにモテるって必要ないのかな。あくまでモテるっていうのは一つの価値観なので、モテることが一つの『正義』として世の中に蔓延するのはおかしいと思う」

   「非モテSNS」を運営する永上裕之さん(23)はフジテレビ系情報番組「ジャーナる!」でそう話した。

   番組では「非モテ」サイトのオフ会の模様を紹介。ここに来ていた20代、30代の人達はカメラに向かい、男性は「別に恋人がいなくてもかまわない」「女性に生活のリズムを崩されたくない」。女性は「ぶっちゃけセックスとかもあまりしたくないんで…」といった具合だ。

   また、「非モテ」の男女の日常生活も紹介した。IT企業のサラリーマン(23)は作曲するのが趣味で、恋愛によって作曲の時間を減らされるのは困る、という。そもそも女性が好きという感情はなく、高校の時に試しに付き合って手を繋いでみたものの、

「母親と手を繋ぐのと同じ。女性は普通の人、というか他人」

   という感想しか持たなかった。合コンをしても「(恋愛の話しになると)話しをしていて辛かった」。同性愛にも関心がない。性欲はあるが、アダルトビデオやエロ本は使わない。「音楽」で処理するのだという。

「一番良いのがインディーズで売られている曲。この表現がいいな、と思うと、興奮する」

「相手を深く知るのは荷が重い」

   コスプレが大好きという20歳の「非モテ」女子大生も登場。オフ会の日はミニのセクシーなナース服を着ていた。恋愛をしたくない理由は、男性と付き合うことによって「感情を左右されたくない」ため。イタリアンレストランの男性店員が気に入りだそうだが、彼氏にしたいとは思わない。アイドルのように思っているだけで、

「メールしたり、デートとなったら、彼のことをよく知らなければならない。相手を深く知るのは荷が重い」

   という。

   なぜ「そもそも恋人なんて欲しくない人」が急増しているのだろうか。「革命的非モテ同盟」の設立に関わった元書記長の古澤克大さんによれば、もともと「非モテ」とは「モテてもろくなことがなく、恋愛を避けて面白おかしく生きた方がいい」「モテることが『正義』という扱いはおかしい」という概念だ。それが「モテるようになろう」に変化した。現在は初めの頃の考え方に回帰している状態なのだという。

   こうなった理由は、モテようと努力したものの、結局はモテずに挫折した人多く、「諦めよう」となったことが一つ。また、「婚活ブーム」の中で起こった結婚詐欺事件の影響も大きく、異性に対し開いた扉が閉ざされる結果になっているそうだ。古澤さんはこれからの「非モテ」について、

「生き方は人それぞれで、恋愛をしない『非モテ』、そんな生き方があってもいいと思います」

   と話している。

  

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