3日に行われたナビスコカップ決勝戦後の表彰式で、準優勝した川崎の選手たちの態度が悪かったということで問題になっている。Jリーグの鬼武チェアマンや川淵名誉会長が激怒し、暗に賞金返上を迫り、そして5日に川崎は賞金5000万円の自主返還を決めた。役員には減俸処分、ガムをかんで表彰式に臨んだ森勇介には出場停止処分を下すという。

確かに、ロイヤルボックスの前でガムをくちゃくちゃ噛みながら、まともにセレモニーに参加しようとしない行為は、ほめられたものではない。健全なスポーツマンシップというものに照らし合わせれば、ノーとなるだろうね。

けれど、ロイヤルボックスの後ろで酒を飲んでタバコを吸いながら試合を見ている幹部たちはお咎めなしで、一生懸命戦って負けた悔しさが発露してしまった選手たちだけが怒られるのには、違和感を覚える。
接待だからいいのか? つまり、チェアマンたちは自分たちの顔が潰されたから、あるいはスポンサーが怒ってしまったから、強い態度を誇示しているだけで、選手たちやサッカー自体に目を向けていない。

悔しさというのは、態度が悪く見えがちだ。メダルをはずす行為自体は、個人的にはスポンサーに対する侮辱になんて当たらないと思う。だいたいいつまでメダルを下げていればいいのだろう。お偉方の列を通り過ぎるまで? 階段を降りるまで? それとも家に帰るまでか?

結局川崎の社長は賞金を返すことを決めたけど、チームの社長として、もう少し自分のチームを守ってもよかったとも思う。ドーピングだと指摘され、結局無実だった我那覇和樹の件もある。ちょっとJリーグに睨まれただけで、いつもペコペコするのはよくない。Jリーグは我那覇にお金を返したのだろうか。今回の5000万円はそのまま受け取るのだろうか。受け取ったら何に使うのだろうか。

繰り返すけど、川崎の選手たちの行為を擁護しているわけではないよ。ただ、問題がいつも、あまりに一方通行で片付けられるのはよくないと言いたいのだ。そもそも、こういった問題を大げさにすることは、サッカー界にとってマイナスだ。メディアの前で怒り散らし、大げさにしたのはチェアマン自身だよ。
今回のような問題は、大げさにせずに、速やかに、リーグとチームの間で処理すべきだった。
スポンサーの顔色ばかりを見ているから、こういう展開になってしまう。選手に罪を押し付けた責任逃れと言ってもいい。本来スポンサーに謝るのは、選手じゃなくてリーグのトップだろう。

ナビスコカップはバブルの頃に始まった大会だ。昨今景気が悪くなってきて、スポンサー離れが進んでいる。ナビスコに離れられたら大変だという、危機感の表れがそうさせるというのも理解できるが、スポンサーの方だけでなく、選手たちやサポーターの方にももっと目を向けるべきだ。
晴れの決勝戦の試合後に、準優勝チームの表彰式での態度についてトップがいきなり怒り散らした。そのせいで、この日もっとも騒がれ賞賛されるべき、FC東京の優勝が少なからずかすんでしまったことのほうが、メダルをはずしたことよりよっぽど悲しいじゃないか。(了)
セルジオ越後 (サッカー解説者) 

 

18歳でサンパウロの名門クラブ「コリンチャンス」とプロ契約。ブラジル代表候補にも選ばれる。1972年来日。藤和(とうわ)不動産サッカー部(現:湘南ベルマーレ)でゲームメーカーとして貢献。魔術師のようなテクニックと戦術眼で日本のサッカーファンを魅了。1978年より(財)日本サッカー協会公認「さわやかサッカー教室」(現在:アクエリアスサッカークリニック)認定指導員として全国各地青少年のサッカー指導。現在までに1000回以上の教室で延べ60万人以上の 人々にサッカーの魅力を伝えてきた。辛辣で辛口な内容のユニークな話しぶり にファンも多く、各地の講演活動も好評。現在は日光アイスバックス シニアディレクターとしても精力的に活動中

●主な活動 テレビ朝日:サッカー日本代表戦解説出演「やべっちF.C.」「Get Sports」  日本テレビ:「ズームイン!!SUPER」出演中 日刊スポーツ:「ちゃんとサッカーしなさい」連載中 週刊サッカーダイジェスト:「天国と地獄」毎週火曜日発売 連 載中 週刊プレイボーイ:「一蹴両断!」連載中 モバイルサイト FOOTBALL@NIPPON:「越後録」連載中