今回の【ドラマの女王】は、藤原紀香主演『ギネ 産婦人科の女たち』(日本テレビ系)。どこをとっても崩壊中の日本の医療体制にとって、もっとも厳しい状況にある産婦人科。「過酷な産婦人科の現状を いま描かなければ 手遅れになると思う」ってまるでドラマが現実を変えているかのようなキャッチ・コピー。元夫とはバイバイしても、日本赤十字社の活動は続ける藤原紀香らしいご立派なドラマなんだろうけど、意外に現実が見えてない。

聖修大学医学部附属病院に勤める、産科医の柊(ひいらぎ)奈智(藤原紀香)。腕はいいが、無口で冷淡、患者を助けることに焦点を置きすぎて周りの人間からは変人扱いされている。同じく産科医の桧垣涼子(板谷由夏)の下に新人産科医の嶋えりな(本仮屋ユイカ)が、柊の下には玉木聡(上地雄輔)が研修医として働き始める。

最初は軽い男だが、柊の元で責任感のある産科医として成長していく玉木役の上地雄輔の演技がドヘタクソ。これじゃ、『赤鼻のセンセイ』の大泉の方がよっぽどドラマに溶け込んでいたように思える。初回にて上地の見せ場は皆無。昨年の同クール『OLにっぽん』に出ていた中国人の女の子が、急患妊婦役で出ていたところが唯一の見どころか。
後の出演者もパッとしない。それもこれも、脇を引き立てる事が出来ない藤原紀香のせい。この人ってやっぱり自分が大好き、演技も奢ったところがある。

いつ産気づくか分からない妊婦の容態の変化や、医療訴訟、夫婦間のプライベートに立ち入る気の重さなど、小さな命を預かる産婦人科医(ギネ)が大変なのは良くわかる。しかし、恩着せがましくドラマで産婦人科医のありがたみを見せるのは何か違う気がしてならない。しかも医療ドラマの見せ場であるスピード感のある現場の空気は伝わってこない。大そうな番宣をしたわりには、初回を見た後、心に何も残らなかった。

産婦人科やNICUと呼ばれる「新生児特定集中治療室」のレポートなどを見ていると、産科の先生も、小児科の先生も、看護士さんも、みんな大変なのに穏やかでやさしいし、なによりも明るい。患者さんや子供を入院させている親たちもベッド数が足りなければキチンと譲り合っていて上手く回転させている。一方で、医院長がTVで多く紹介されているオピニオンリーダー的な婦人科病院が、身元のわからない急患の妊婦の受け入れを一切拒否しているという事実もある。『ギネ〜』よりも、ニュースやドキュメンタリーを見ている方が産科医療の現状が分かったり、命の大切さに胸を打たれる。

今後明らかになる主人公の過去や、ドラマティックな展開には期待するが、今みたいなメリハリの無さで回を追えば、絶対に視聴者はついてこない。『救命病棟24時』もその傾向があったが、ドラマだからこそ、つらい現実ばかり見たくないのである。
(TechinsightJapan編集部 クリスタルたまき)

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