“世界最高峰のレース”の雰囲気は? 仏G1「凱旋門賞」に行ってみた。

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競馬に携わるすべての人が羨望の眼差しを贈る、世界最高峰のレース・凱旋門賞(フランスG1/芝2,400メートル)。伝統と格式を併せ持つ、競馬場の雰囲気や客層も“別格”のレースとして知られているが、今年の凱旋門賞が10月4日にロンシャン競馬場で開催され、英国クラシック2冠馬のシーザスターズが優勝を飾った。今回、ナリナリドットコムのフランス特派員も世界最高峰のレースを肌で感じるべく凱旋門賞に潜入したので、競馬場の様子をお届けする。

世界にその名を知られる凱旋門賞の舞台は、パリ郊外の森林公園「ブローニュの森」の中にあるロンシャン競馬場。「ブローニュの森」はロンシャン競馬場のほかに、全仏オープンが開催されるテニス場「スタッド・ローラン・ギャロス」や、シェイクスピア庭園などもある“高貴”な雰囲気の漂う公園だ。

ロンシャン競馬場の敷地に足を踏み入れると、そこは日本の競馬場とは別世界。場外はパドックがある以外は公園と言っても良いほどで、ディキシーランドジャズやジプシージャズの生演奏も行われているなど、実にのんびりとした空間となっている。また、カフェや立ち飲みバー、そしてクレープやワッフルの販売コーナーなどがあるのもフランスらしいところ。ちなみにバーはいくつかあるが、シャンパン専門のバーや、1本200ユーロ(約26,200円)からのドンペリ専門バーもあり、いずれも繁盛していた。そうした面からも、競馬場を訪れる客層をうかがい知ることができる。

よく「ヨーロッパの競馬場は正装で」という話が聞かれるが、例えばロンシャン競馬場の場内には帽子屋がある(帽子は西洋の正装のひとつ)ほか、帽子着用の女性は入場無料(=令嬢・レディと見なされる)となるほど。華やかなコサージュを付けた女性も多い。もちろん男性も正装をした人が多く、胸ポケットにバラを刺した紳士の姿もあった。

ただ、凱旋門賞は昨年からカタールのレーシング&イクイストリアン・クラブがスポンサーとなっていることもあり、場内は文化がミックスされた不思議な雰囲気に。アラビアンな服装の人たちも目立ち、また、カタールの伝統食フェアのような催しも行われていた。

競馬場自体は日本の東京競馬場よりもこぢんまりとしており、周囲には高い建物もなく、ターフ(芝コース)の外側には風車小屋があるなど、どことなく牧歌的な風景も。パドックは日本の競馬場のそれよりも距離感が近く、横断幕のようなモノは掲げられていない。パドックからターフへと通じる通路ではときどき騎手とハイタッチできることもあるなど、ファンにはたまらないシーンも見られた。

日本では、G1レース開催時の競馬場はすし詰め状態となることも珍しくないが、凱旋門賞ほどのレース開催時でも、ロンシャン競馬場はスペースに余裕があり、ゆったりとした中でくつろいで観戦することができる。ヤジが飛ぶことは皆無で、優勝馬には惜しみない拍手、勝利インタビューや表彰式でも暖かい声援が送られていた。競馬場スタッフの対応の良さや家族連れが多いことなども含めて、居心地の良い素晴らしい空間だ。競馬に興味がなくとも、楽しめること間違いなし。来年の凱旋門賞はもちろん、パリを訪れる機会があれば、ロンシャン競馬場まで足を伸ばしてみると、素敵な体験ができるかもしれない。