謎の求人ページ

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老舗ゲームメーカー、有限会社サーカスが先日面白い求人を出していたのは覚えているだろうか?
「ダ・カーポシリーズが大嫌いで、サーカスで他の企画を作りたい人」を1名と、「ダ・カーポシリーズが大好きで、ダ・カーポの新作を作りたい人」を1名募集しているという物だが、果たしてこの求人にはなんの意味があるのだろう。
疑問に思ったトレビアンニュース記者は早速、同社代表取締役会長のtororo団長こと松村和俊(まつむらかずとし)氏に話を伺ってきた。

■謎の求人の意図
記者 さっそくなんですが例の求人…「ダ・カーポシリーズが大嫌いで、サーカスで他の企画を作りたい人」を1名だけ募集されている件ですが、どういった意図があるのでしょうか?
松村和俊(以下、tororo) これは2つの意味があるんですよ。元々は僕のアシスタント募集だったんです。会社も分業していくと全部覚えきれないのでアシスタントが一番手っ取り早い。でも、僕に対して一人のアシスタントだと、業務量の多さでつぶれてしまう。数十というラインの作業を行っていると、自分が何をやっているわけでなくてもその物量でやられてしまうんです。そこで、マルチタスクができる人間と、一つの業務に集中できる人間、両方必要だと気づいた。
記者 二種類の求人は、そういう意味なんでしょうか。
tororo 最初の段階では、ダ・カーポが嫌いな人でダ・カーポ以外を作りたい人にダ・カーポを作らせるか、ダ・カーポが好きでダ・カーポIIIを作りたい人に別のゲームを作らせた方が良かったのかなと思った。サーカスのことが好きで、ダ・カーポが好きで入ってきた人って結構長続きしない。「ウェブページ見て面白そうだったので受けました」っていう人や「サーカスのゲームやったことないです」って言う人の方が続くんです。
記者 それは意外ですね。
tororo ダ・カーポが好きで入った人は1作目が好きで入社したわけで、2作目になると「こんなんじゃない!」って思ってしまうんです。だからダ・カーポのことが好きじゃ無い人に作らせた方が良いのかなと。種明かしはできないけど、何故このような募集をしたのか、お客様含めてうちの社員もなかなかわからないと思う。ヒントを言うとすれば、そのような感じですね。
記者 応募者の中にドンピシャな方っていると思いますか?
tororo 今のところ居ないですね。
記者 既に応募来てるんですか。
tororo ボチボチ来てますよ。ただ公開したとたんに応募してくる人はただのミーハーじゃないかって思うので、3日目くらいからが本命なんじゃないかなと。
記者 では、そろそろ本命の方も来るかもしれないですね。
tororo 書かなかったけど書きたかったのは、「サーカスの開発ラインで好きにゲームを作りたいプロデューサー募集」とか、「よその会社に勤めてるんだけどサーカスの開発ラインでゲームを作りたい方」とか。そういう募集もしてみたいですね。


■会社の社長さんに応募してほしい
記者 私はダ・カーポシリーズ以外の作品を作るんだなと単純に捉えちゃったんです。『ヴァルキリーコンプレックス』の様な。
tororo ダ・カーポ以外の作品を作ってくれる人が来ても良いんですけど、「サーカスとはなに?」というところから始まって、サーカスのことを理解して提案して芯が通っている人なら歓迎ですね。だからよその会社の社長とかに応募して欲しい(笑)。
記者 例えばですけど、どういった方に来て欲しいですか。
tororo 高校や中学の校長やってたんだけどダ・カーポ作りたいっていう人とか、単純にゲーム会社の人ですかね。
記者 それはそれで面白そうですね。
tororo あと、「仕事ください」って言って来る人がいますけど、「俺こういうこと出来るから一緒にやりましょう」って言う人の方が好きなんですよ。「面白いことしましょう」や「飲みに行きましょう」、「こういうことがあったらこうしましょう」っていうのはウェルカムなんです。でも、「仕事ください」ってなんなんだろうなあって。「仕事ください」って、言い換えれば「お金ください」ですからね。


有限会社サーカス代表取締役会長松村和俊氏 またの名をtororo団長
▲インタビューを受けて下さった村和俊氏。

■引退したかったが、居なくなると潰れる
記者 もしこの1名の方が決まったら会社は変わったりします?
tororo 変わりますけど、そういう意味では会社は常に変化してるんだと思います。もっと言ってしまうと私は引退したかったんですよ。ダ・カーポシリーズのプロデューサー募集をしたかったんです。だけど、去年「サーカスを誰か買ってくれないかな」なんて言ってた時に、買ってくれそうな人はみんな「松村さんの居ないサーカスなんて買ってもしょうがない」って言うんです。自分の存在意義に嬉しさ半分、悔しさ半分ですよね。私が居なければいけないっていうサーカスは、まだ後続を育てられていないと。ライブドアさんに関しては、事件後ホリエモンいなくなってもまだ頑張ってる。頑張っていけるにはそれなりの何かがあるんですよ。だけどサーカスは私はいなくなると潰れる。それを実感してしまったんです。
記者 今回の募集ってかなり意味が大きいんですね。
tororo 1名といっても、絶対選ぶわけでもないですから。該当者無しみたいに。
記者 絶対選ばれるわけじゃないんですね。
tororo 凄くストレートな言葉で言うと、「もの凄く忠誠度の高い、最強にワガママなやつ募集」って書きたかったんです。結局ディレクターとプロデューサーってワガママ大会なんですよ。みんなの意見を聞きながら「でも俺はこれやりたい!」ってどこまで信念突き通せるか。普通に部長クラスの人を雇ってしまうと、扱いやすいだけの人。「羊」なんですよね。「羊の皮を被ったオオカミ」みたいなのが社内に1、2割は必要。その1、2割の者がぶちこわした物を羊がならしていく。「オオカミ」が必要なので、こういった形で募集を行ったんです。次回も変わった募集したいですね。
記者 次回もなんか仕掛けあるんですね。
tororo このアイデアの元は、ドワンゴが2ちゃんねるで求人募集した「学歴制限あり。中卒または高卒の方のみ。大卒未満限定」っていうアレなんです。あれも私はなるほどなと思って。でも、今回の求人は成功だと思います。求人ページなのにアクセス数がいきなり伸びて。
記者 そうなんですよ、ネット中で話題になっていて。
tororo 2週間くらい前に朝礼で発表したんですけど、「私はワガママで生きていく。私がワガママを聞いてあげたい人間や聞いてあげたいワガママは取り入れる。その代わりワガママにやっていくから」とみんなに宣言したんです。
記者 ワガママ宣言ですね。それが今回の謎の求人に繋がったんですか。


謎の求人「ダ・カーポシリーズが大嫌いで、サーカスで他の企画を作りたい人」の真意は分かっただろうか?
まだ募集中のため一部伏せてある箇所もあるが、今後サーカスに応募してみる人はそれなりの覚悟が必要そうだ。
その代わり受け入れ体制も万全なので、既存のサーカスをぶちこわしたい方は応募してみては如何だろうか。
今回のインタビューはかなりの長丁場になったので後半は別途公開するぞ。
記者も少し受けてみたくなってきた……。

参照:有限会社サーカス

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