――以前の自分と比べて、最近変わってきたなと感じる部分はありますか?

熊木:今、ライブをすっごくしたい自分がいることですね。以前は作る作業の方が好きだったんですけど、最近の欲求としてはもっと人の前で、人と触れ合える歌、場所に立っていたいなと思いましたね。

――それは、何かきっかけがあって?

熊木:今回のツアーを終えてから、無性にという感じですね。「あと何日かあってもいいな」というのは本当に初めて思うことで。だから、もう少し外に立ちたいなという意識がありますね。

――逆に、変わらないでいると感じる部分はありますか?

熊木:その欲求の中にも、相変わらずライブをやると、次にこんな曲を作ろうとワクワクしている自分がいることかな。何かが出来て、何かが足りなくなるのではなく。ライブがすごくしたいなと思い始めたら、こんな感じの曲があった方がいいかなというのも当然に思う。アウトプットばかりするとインプットが減るのではなく、ようやく今ちょうどいいバランスになってきているのかな?という感じなんですね。

――以前と比べると、ライブや聴く人のことを意識した曲作りになっていますか?

熊木:なっていますね。

――今回のシングルは「君の名前」というタイトルですが、「熊木杏里」という自分の名前についてはどう思いますか?

熊木:とても好きですね。はつらつとしている感じがいいですね。

――名は体を表していますか?

熊木:いや、そこまでは(笑)。傍目に「熊木杏里」という文字を見た時とか、自分で「熊木杏里です」と言っている時の感じは「悪くないなー」と思います。

――歌手活動を始める時に、本名ではなくアーティスト名を考えたことは無かったですか?

熊木:(笑)。ありましたよ、デビューの時に。年齢も19とかだったので、ちょっと「“熊”は嫌だなぁー」みたいなのもあって(笑)、考えたりはしましたけど、そういうのは本当に妄想に終わりますよね。結局、アイディアも無かったので。「本名が似合っているなぁ」とも思いますしね。

――熊木さんは、人から「こういう一面があるよね」とか「こういうタイプだよね」とか言われることはありますか?

熊木:「ホッとするね」とか「癒し系だね」「タヌキみたいだ」とか、キャラクターに例えられることが多いですかね。どれもこれも的を得ているかも?とは思いますね。

――同じ恋愛がモチーフになっていても、2006年11月に発売された「新しい私になって」と比べると今回の「君の名前」では、涙だけでなく笑顔もあって、暗い過去に捕われ過ぎずに目の前には明るい未来が開けているような清々しい前向きさを感じたのですが、熊木さんの歌詞には割とその当時のリアルな自分が描かれるのか、それとも自分とは違う誰かをイメージしながら書くんですか?

熊木:導入は完全に自分ですね。ただ、そこからは書いていく内にもう段々色んな何かが混ざり合っていく感じがありますね。「君の名前」だと、サビより前はとても具体的だけど、サビからは「太陽」みたいなのが少し印象とか景色みたいなものが入ってくると思うんですよね。

――今まで、あまり恋愛の曲を歌っているようなイメージを抱いていなかったんですけど、割とそういう女性的な一面も徐々に歌詞に出始めているのかな?と思ったのですが。

熊木:そうですね。歌っていて、そういう欲求が出てきていますね。アルバムの中の「やっぱり」という曲とか、時期的なものもあるんでしょうけど、その曲を歌っている時の自分は、声とか想いの出し方とかがとても合っているなと。というのもあって、自分がこんなにも女の子なんだなという、それがパワーにもなるなと。今まであんまりそういう所に着視していなかったので無意識なんですけど、「雨が空から離れたら」とか「水に恋をする」とか「ゴールネット」とか多分、自分の中にあることと似ているんですけど、“人”っていう感じに向かって言うのか、“女の子から女の子へ”みたいなことになるのかって、随分違うんですよね。そこはちょっと今、攻め始めているんですよね。