深夜たむろする若者の撃退法 「モスキート音」に問い合わせ殺到
東京都足立区にある「区立北鹿浜公園」の広場に、2009年5月21日から「モスキート音」と呼ばれる高周波音を発射する装置が取り付けられる。名前通り、蚊の飛ぶ「キーン」という音に似ていて、これで深夜公園に「たむろ」する若者を撃退しようというものだ。同じような悩みを抱えている自治体やショッピングモールは多いらしく、設置会社には問い合わせが殺到している。
不快に感じる高周波音「発射」
足立区が設置するのは、「モスキート」という名前の英国製の装置。欧米で数千台使用されているといわれている。約10センチ四方の立方体に近い形で、17kHz以上の高周波の音を発する。
発せられる「モスキート音」は、不快に感じる高周波音で、テレビなど電子機器から聞こえる「キーン」という音にも似ている。健康診断や耳鼻科などで行われる聴力検査での「高音」は一般的に8kHzまでで、「モスキート音」はその倍以上高い周波数の音となる。高周波の音は若者に聞こえやすく、年を取ると聞こえにくくなる。
北鹿浜公園ではここ数年、トイレのドアや便器、施設の窓ガラスなどが数十回、「直しては壊され」を繰り返してきた。同区公園管理課の担当者も、「夜間パトロールだけではどうにもならない」と嘆く。パトロールは週2回、警備会社に委託して、若者に対し声かけや指導を行っているそうだが、「ひとつの公園に常駐しているわけではなく、限界がある」と悩んでいた。そんな中、いい機械があると聞き、09年4月に導入を決めた。
同区では、若者の話し声や花火など騒音がうるさいとか、深夜にたむろされて怖いといった苦情が少なくない。「うちの近くの公園でも困っている」という区民は多く、機械の設置を望む声が出ている。
コンビニでは「死活問題」
この「モスキート」という装置、セキュリティ機器などを扱う「メルク」という会社からレンタルされている。同社の担当者は装置について、「若者がたむろするような場所に設置し、『嫌だな、いづらいな』と思ってもらい、別の場所へ行ってもらう」のが目的だと説明する。英国での調査で安全性も証明されているという。高周波音の届く範囲は最大約40mで、周辺の住民にほとんど影響はない。
日本でもコンビニなどで、採用例がある。コンビニでは店頭に「たむろ」され、大声で騒がれたり、ゴミをちらかされたりし、中には苦情で閉店にまで追い込まれる店もあるという。
今回の足立区の導入を受け、マンションの管理会社、団地の自治会、ショッピングモール、そして地方自治体からなど、「山のように」モスキートへの問い合わせが来ているそうだ。
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