「エヴァ」声優緒方恵美が告白 「うつ病にかかりかけていた」
アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の主役、碇シンジ役などで知られる声優の緒方恵美さんが、「自分は、知らないうちに鬱(うつ)病にかかりかけていた」と2009年5月12日付けのメルマガで告白している。どんな状態だったのだろうか。
「1日中、ただぼーっとリビングの床に座っているだけ」
「約1カ月間、何をする気力もおきませんでした。
仕事に行く時だけ空元気で、それ以外は1日中、ただぼーっとリビングの床に座っているだけ。音楽を聴く気も、テレビをつける気も、ご飯を食べる気も、眠る気も、何もおきない」
緒方さんは09年5月12日付けのメルマガでこう綴っている。
アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の主役、碇シンジ役や、「幽☆遊☆白書」の蔵馬役などを務め、歌手としても活躍している。順風満帆な緒方さんに何があったのか、と巨大掲示板「2ちゃんねる」でも話題になっている。
メルマガによると最近、緒方さんに大きな変化があったようだ。
1月からやってきたライブツアーが3月に終わり、8年続けてきたインターネットラジオも同月で終了した。特にライブは毎回、「ここで死んでもかまわない」と思うくらいに頑張ってきた。「ちょっと、頑張りすぎてしまいました」ともいう。その反動なのだろうか。
緒方さん曰く、何かを成し遂げた後に感じる「心地よい空虚感」ではなく、「何をする気も起きない、できない」という状態だった。
そんな時、たまたま精神科医・医学博士の斎藤茂太さんの「捨てる力がストレスに勝つ」という本を読み、「自分は、知らないうちに鬱病にかかりかけていたのだと知りました」。
緒方さんの所属事務所に今の様子などについて取材したが、答えは得られなかった。
一生懸命、打ち込んだ後になる「荷下ろしうつ病」
「何事にも興味がわかず、楽しくない」「気力、意欲、集中力の低下を自覚する」「寝つきが悪くて、朝早く目がさめる」「食欲がなくなる」「人に会いたくなくなる」などがうつ病の代表的な症状だ。
日本精神科病院協会の常務理事を務め、あいせい紀年病院理事長の森隆夫医学博士は、
「うつ病は誰でもかかります。初期症状は『不眠』ですが、頭痛がする、食欲がなくなる、目がかすむ、といった内科的な症状が出てくることもあります。もちろん、これらの症状が出たら100%うつ病、ということではありませんが」
と説明する。
また、一生懸命、仕事などに打ち込んだ後に、うつ病になるケースは「荷下ろしうつ病」と呼ばれている。
「緒方さんの場合がどうかはわかりませんが、一般的な話として、荷物を抱えている時は気が張っていて元気だが、荷を下ろし、気が抜けた時にうつになるパターンで、昔からよくあります。何かに打ち込んだ後は、要注意です」
類似しているのが「引っ越しうつ病」だ。引っ越しが完了して、「さあ、これから新しい生活を始めよう」という時にうつになる。
「荷下ろしうつ病」は仕事ができる真面目な人がかかりやすい。ただ、根がしっかりした人だけに自分で回復する力を持っていて、3〜6カ月もすれば治るのが一般的だそうだ。
しかし最近、若者に増えている「逃避型うつ病」はストレスを受けている最中にうつになる。本人の弱さが根底にあるため、「慢性的になりやすく、治りにくい」そうだ。
うつ病は放っておけば最悪、自殺する可能性もある。
警察庁が09年5月14日に発表した自殺に関する調査結果によると、08年1年間に自殺した3万2249人のうち、原因・動機がわかったのは2万3490人で、約27%に当たる6490人が「うつ病」が原因だった。
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