アメリカのロサンゼルス発の人気衣料チェーン「FOREVER(フォーエバー)21」が、4月29日に日本第一号店を原宿・明治通り沿いにオープンする。このブランドは昨年話題になった「H&M」と同じく、トレンドをすぐに取り入れ低価格で販売するという、「ファストファッション」ブランドだ。しかも、オープンする場所はH&Mのすぐ隣。この原宿の明治通り沿いには、H&M、GAP、ユニクロTシャツ専門店等があり、「ファストファッション」の聖地ともいえる場所だ。ファストファッションの競争はますます過激になるようだ。

「フォーエーバー21」は1984年にロサンゼルスで、韓国系アメリカ人である、チャン・ドウォン、ジンスク夫妻が立ち上げたブランドであり、他のファストファッションブランドよりも低価格だと思われる、なぜならトータルコーディネートが100ドル、つまり、日本円で1万円以下で服、バック、靴、アクササリーまで揃う。
もちろん、デザインにもトレンドを取り入れている。商品のバリエーションの多さに、満足するバリュープライスで若い女性の支持が多い。よく、「H&M」を初めとするトレンドを取り入れたファストファッションブランドと対比されがちだが、「フォエバー21」は「H&M」や「ZARA」、「ユニクロ」とは異なるビジネスモデルを展開している。

「H&M」等は製造小売業といわれるSPA(speciality store retailer of private label apparel)製造だ。ファストファッションブランドの「GAP」が自らを定義するために用いた言葉であり、GAPがその言葉を使い始めた当時の日本では、衣料品メーカーで製造された商品は百貨店に委託販売され、残ったら返品というビジネスモデルが一般的だった。GAPの商品企画から製造、販売まで行った業態は斬新なものだった。それに対し、「フォエバー21」はOEM生産という形のビジネスモデルを採用しているようだ。

この「OEM」生産は「相手先ブランド生産」ともいわれ、SPAのように自社ブランドを持たずに、毎週提案される取引先ブランドのサンプル商品を選び、大量生産するというモデルを採っている。
このため、「フォーエバー21」にはSPAブランドのように、統一されたブランドらしさがない。その分、バリエーションが豊富だという意見もある。また、このOEM生産方法は品質管理がずさんになりやすく、品質管理・統制が難しくなるという所が指摘されている。資料不足で申し訳ないが、何件かデザイナーズブランドからデザイン模倣訴訟を起こされているらしい。

フォーエーバー21の日本進出は、今回で二度目。前回は三愛と組み、2000年に二店舗展開したが、一年ほどで撤退してしまった。しかし、今回は同じ失敗を踏まないように(?)直接日本で販売するという形で、再進出する。また、広告にも力を入れている。開業前に立ち上げる日本公式サイトでは、芥川受賞作家の金原ひとみ氏の書き下ろし小説の連載、シンガーBENIのオリジナルソングをストリーミング配信を今月21日からはじめる。

PRなら「H&M」も負けてはいない。得意のセレブや有名デザイナーのコラボを今季も実践する。今季の春夏コラボはクリスチャン・ラクロワから引き継いで、エミリオ・プッチのクリエイティブ・デザイナーに就任したことで有名なデザイナー、マシュー・ウィリアムソンだ。彼の自身ブランドもエスニックで、プリントデザインを学んだこともある彼らしく、グラフィカルなカラーが上手くデザインに取り入れてある。今月の23日に第一弾として、約20型のレディースコレクションが世界で同時発売される。

日本のファストファッションブランドの代名詞である「ユニクロ」も今回は話題を提供してくれた。