――部屋にテレビは無いんですか?

北出:観ないのと、うるさいなと思って(笑)。普段、音楽を聴くので、テレビを点ける機会もそんなに無くて。テレビって情報量がすごく多過ぎるんですよ。色んな人がしゃべってて、更に小さな窓で誰かがしゃべってて。何を追っていいのか分からなくなって、私が付いていけないままに、どんどん進んで行ってしまって。テレビは私のペースに合わせてくれないから、言葉が入ってきにくくて。ネットとかは自分でアクセスすればいいけど、テレビはもうパッって情報が与えられるでしょ。「今の言葉、何だったんだろう?」と思ってもすぐ先に行っちゃうし、ビデオとかDVDの様に巻き戻しが出来ないから、「何だったんだろう?」で終わってしまう(笑)。

――DVDで映画を観たりは?

北出:それはパソコンで観ていて。でも、最近ちょっと限界を感じ始めて、どうしようか。そういうものを観るためにテレビを買うべきか?でも、それだけのために嫌だなとか思って。

――四季では、夏が一番苦手ですか?

北出:そうですね。北海道生まれということもあって、東京の夏がちょっと辛くて。日差しもすごく嫌いなんで、もう全然外に出られないんですよ。

――割と普段は昼間はあまり外に出ず、夜行性なドラキュラみたいな生活パターンなんですか?

北出:そうですね。割と明るい所も苦手なので、お家もかなり暗いですし。レコーディングスタジオもかなり、もう歌詞がギリギリ見えるぐらいの明るさで、いつも(笑)。

――毎回ジャケット写真がすごく面白いなと思って見させて頂いてるんですけど、今回の「月華-tsukihana-」は今までに無い、和服を崩した感じで着られてますが、何か北出さんの方からアイデアを出されたんですか?

北出:そうですね。今回の「月華-tsukihana-」が、元々すごく和の香るイメージがあったんですね。海外にすごくたくさん行っていて、和の面白さみたいなものを、日本にいるよりすごく知れることが多くて。伝統的な和ではないけど、海外の人の見た和ってすごく面白くて、ちょっと間違ってるんですよね(笑)。中国とか、オリエンタルな方向もちょっと入ってたり、下手したらもっと違う国も入っちゃってるだろ?みたいな所があって。でも、それはそれで面白いし、海外の人達の視点の美学みたいなものがあって。

ゴシック&ロリータも結局そうですけど、ヨーロッパの方を見て日本がアレンジしたから、多分ヨーロッパとしては誤解だと思われてると思うんですよね。でも、それはそれで面白いと言って、またヨーロッパに逆輸入される。日本の和とか伝統的なものを見て面白いなと思ったものを海外の人達がアレンジして。私がライブしに行ったら、みんな着物とかをすごく適当に着てたりするんですけど、それはそれでカッコイイ所もあって面白いなと思っていて。

それで今回はちょっと和の香る感じで、でもただの和ではないなと思って、ひと癖ある和のイメージがあって。和の凛としたイメージは残しつつ、更にそれを崩すことによって面白く、らしくなったらいいなとも思ったし。「海外の人が間違って和服を着ちゃったみたいなイメージ」と言って出来たんです。ビョークとか海外のジャケットにも、和服とかを着てセンスが面白いなって思う所があったりしますよね。そういう所でまとめたら、私も出来るんじゃないかと思って。

――今までに何度か「KERA」などファッション誌の表紙を飾られてますが、何度も服を着替えたり、普段あまり取らないポーズをしたり、モデルのお仕事は特に問題なくやれてますか?

北出:私は元々、自分のお化粧とか髪型とかお洋服とかがすごく好きなので、いい息抜きになってるというか、本当に着せ替え人形の自分版みたいな感じなんですよね(笑)。やっぱり雑誌だから、普段ちょっと着ないテイストのものも着たりするけど、「こういうものもアリなんだ」とか。

あと、一つのファッションページだけど、自分ではなんとなくアートの感覚もちょっとだけあって。ちょっとしたコンセプトを決めて、別人格のような感じで。普通のファッション誌より、ある意味異次元なイメージがあるので、もちろんそれをみんな日常的に着ているわけですけど、逆にテイストとしては非日常的なファッションと言えばそうで。その面白さみたいなのもあるからすごく楽しいし、ちゃんと自分の美意識を保っていられる所もあるので。