ホンダが日本で2月6日に発売するハイブリッド車インサイト、その価格が190万円以下になることがわかった。

 ホンダは本格的にハイブリッド車を普及させるため、シビック・ハイブリッド(230万〜280万円)やトヨタ自動車のプリウス(230万〜330万円)を下回る200万円以下という価格設定を以前から目指していたが、190万円以下というのは業界関係者のあいだでも想定外、高性能な環境対応車としては自動車市場にそうとうなインパクトを与える。ホンダ社内では「(トヨタの)カローラの客を取り込めるのでは」との声もある。

 低価格の秘密はIMAと呼ばれるホンダ独自のハイブリッドシステムにある。ガソリンエンジンをアシストするモーターやバッテリーがプリウスに比べ、軽量でコンパクト。

シビック・ハイブリッドもこのIMAシステムなので量産によるコストダウンが図れ、インサイトにはさらにコストを抑える専用設計を施した。「プリウスに勝る価値はなんといっても価格。そのためにホンダの技術を詰め込んだ」(福井威夫・ホンダ社長)。この価格でも利益は出るという。

 デトロイトで行なわれた北米国際自動車ショーでも話題を集め、期待は高まるが、足元を見ると新車販売はまったく底が読めない悲惨な状況だ。

加えて、ハイブリッド車にとっては追い風だったガソリン高も、今はどこ吹く風。米国での発売は4月以降だが、「ガソリン価格が高いと、ベース車との価格差はランニングコストで短期間でも取り返せ、お得感がある。しかし1ガロン2ドルを切ってしまうと当てがはずれる」(近藤広一・ホンダ副社長)。

 さらに国内ではハイブリッド車や電気自動車など排出ガスの少ないクルマに対する税制優遇が4月から始まる予定で、それにより、インサイトは3月まで買い控えが懸念されている。税制優遇を受けると受けないとでは10万円もの差がつき、買い控えを防止する還元策が検討されているが、「こんな時期なので還元策にもあまり費用はかけられない」(ホンダ)。

 福井社長は昨年10月まで、日米欧合わせた目標販売台数20万台に対し「生産が追いつくか不安なくらい受注は上回りそうだ」と楽観していたが、11月以降は市場の悪化が顕著となり、その意気込みはトーンダウンしている。

 しかし、インサイトがホンダの今後を左右する最重要モデルであることに変わりはない。昨年末には今期業績の大幅な下方修正をし、F1撤退や国内外工場の増強延期などありとあらゆる計画が見直されるなか、ハイブリッド車には投資を怠らず全精力を集中している。

 ホンダが生き残りをかけ強化するハイブリッド・ラインナップの第一弾、インサイトに失敗は許されない。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 柳澤里佳)

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