ADT選手権と言えば、一昨年からは米LPGAがツアー独自で主催運営する唯一の大会としてシーズンエンドに開催され、勝ち抜き戦フォーマットや1ミリオンという破格の優勝賞金で注目を集めた。だが、今年の大会を最後にADTがこの「超リッチな最終戦」の冠スポンサーから降板することが決定。リーマンショックの影響なのか、それとも米国内における女子ゴルフ人気低迷が原因なのか、あるいはツアーを率いる敏腕会長キャロリン・ビーベンスとの確執によるものか。ともあれ、米ゴルフ界では、ちょっとした騒ぎになっている。

ADT選手権の会場はフロリダ州ウエストパームビーチのトランプ・インターナショナル。不動産王ドナルド・トランプ氏の意向を反映し、豪華な噴水、美しいフェアウエイ等々、派手な演出のコースで展開されるこの大会は、シーズンを前半と後半に分け、大会出場有資格者を徐々に決定していくもの。選手たちはシーズン開幕時から1ミリオンをゲットする夢を抱き、大会出場を目指してきた。

だが、この「超リッチな最終戦」からのADTの降板は、そんな選手たちにとって、まさに寝耳に水。ビーベンス会長は「残念だが、すでに新しい冠スポンサー候補の他数社と交渉を始めている」と相変わらず強気の発言だ。ADTは来季も通常大会のスポンサーとして残る可能性はあり、現在のところ、4月のスタンフォード・インターナショナル・プロアマの冠スポンサーであるスタンフォード・ファイナンシャルが「超リッチな最終戦」でADTに替わる新スポンサーとなる最有力候補とされてはいる。が、リーマンショクに泣く金融関係企業が本当にビッグマネーを提供するプレーオフイベントのスポンサーになりうるのかどうかは、なんとも疑わしい。

米LPGAは、この最終戦のみならず、通常大会でも来季のスポンサーが決まらず苦しんでいる。間もなく11月を迎える今の時期になっても、今年限りでスポンサーを失ったギン・トリビュート、フィールズオープン、セーフウエイ・インターナショナルの新スポンサーが決まっておらず、このままだと来季は33試合にも満たないシーズンになってしまう。

もっとも、昨年もシーズン終盤まで7試合がスポンサー欠如という状況だった。だが、ビーベンス会長が敏腕ぶりを発揮し、年末に盛り返した実績がある。しかしながら米国経済の悪化で厳しい局面を迎えている今年、昨年同様の挽回ができるのかどうか。会長の手腕を、とくと拝見したい。(舩越園子/在米ゴルフジャーナリスト)