麻生久美子(撮影:野原誠治)
 小学5年生、11歳が妊娠・出産するという衝撃的なテーマで、公開前から大きな注目を集める映画「コドモのコドモ」。昨年、松山ケンイチ・成海璃子主演でヒットを記録した「神童」を手掛けた萩生田宏治監督が、子供達の成長をみずみずしく描いている。また、理想を掲げて父兄と校長に臨みながらも、子供達に思うように受け入れられず、戸惑いながらも自分を見つめなおしていくという女性教師・八木先生役を好演したのが、「たみおのしあわせ」、「純喫茶磯辺」など今年7本の作品に出演し、日本を代表する映画女優、麻生久美子だ。お互いに「一緒に仕事をしてみたかった」と話す二人に、作品、自らの演技観・作品観について話を聞いた。

――まず、麻生さんがこの作品に出演を決めた理由、萩生田監督が麻生さんを起用した理由を教えてもらえますか?

麻生久美子(以降、麻生):私にとっては、すごく真っ直ぐで、不器用で、空回りする、八木先生というキャラクターがすごく魅力的で。あまりやったことのない役だったので、この役柄を演じることができれば、自分にとってすごくプラスになるんじゃないかな?という予感がしたのと、監督ともお仕事がしてみたかったので。

萩生田監督(以降、萩生田):恐縮です!

麻生:イヤイヤ、本当に(笑)。

萩生田:麻生さんを一番初めに観たのはもうずっと前で、「カンゾー先生」(1998年公開)だったんですけど、その時にかなり衝撃的な印象を受けまして。“しなやかに正しい”感じがする女優さんだな、是非一度お仕事させて頂きたいなと思っていました。八木先生というのはとても難しい役だと思っていて。原作では彼氏がいたり、八木先生の日常の部分でかなりキャラクターが描かれていたんですけど、映画の中ではそういう所を全部落としていたので。限られた場面の中で、複雑な八木先生を演じるのはかなり難しいだろうなと思ったので、「麻生さんなら!」とお願いしました。

――監督は、原作のどこに惹かれて映画にしたいと思いましたか?

萩生田:さそうさんの原作はもっと前に出ていたんですけど、プロデューサーの根岸さんから「こういう原作があるんだけど、どう思う?」と言われて初めて、“映画化できるかどうか?”という前提で読ませて頂きました。それで、出産シーンの部分に非常に感動して、子ども達だけで出産するというのは、あり得ないと言えばあり得ないんだろうけど、あまり一言で「あり得ない!」と言い切れないことだなと思って、チャレンジしてみようと取り組ませてもらいました。

――原作を読んだ時に、「子供が妊娠する」ということに関してどのように思いましたか?

麻生:私は、その時は何も思わなかったですね。さそうさんがすごく好きなお友達がいて、全部貸してもらっていたのでもう読んで知っていたというのもありましたけど。

萩生田:「こんな作品に出て」というリスクよりは、麻生さんが覚悟を持って入ってこられて八木先生をやっているという感じがしていて。もちろん、それに対する疑問とか、「出たらどうなんだろう?」「こう言ったら色々と言われるんだろうか?」というのはスタッフもキャストもあると思うんですけど。そこで麻生さんみたいにドンっと立って頂くと、その覚悟からこっちも励まされてやった感じはありましたね。