昔から「お役人は定時に帰れてうらやましい」という声がある。しかし、別段これはうらやましいことでも、やっかむことでもなく、労働の基本は「定時で仕事を終わらせること」である。

それでも、ダラダラと残業する人間が後を絶たないので、20年近く前に「NO残業デー」が導入された。お役所の場合は定時退庁日と呼んでいる。原則として毎週水曜日であるが、運用によって、金曜日や給料支給日も定時退庁日にしている官庁もある。


定時退庁日制度が導入されたとき、当時のオジサン公務員たちは一様に「どうしよう・・困ったな」と言い出した。家庭に帰ると居場所がないので、帰りたくないのである。

しかし、彼らの心配は杞憂だった。帰る場所の無い哀れなお父さんたちのために、「定時退庁日は酒盛りの日」という暗黙の了解ができたからだ。
現在では、国民の監視の目が厳しく、職場での酒盛りは禁止されているが、当時は、まだ公務員バッシングがそれほど普及しておらず、どこからか沸いてくるビール券も豊富にあったので、酒代に困ることはなかった。

個室が与えられている幹部職員は、定時退庁日には在室ランプだけ消して、側近を呼んでダラダラと酒を飲んでいる。当然、中間管理職は退庁することはできない。中間管理職は本来、部下たちに定時退庁を促して歩くのが使命であるが、当の本人が定時退庁日に終電近くまで酒を飲んでいるのである。

やがて、事務室での飲酒が禁止されるようになると、今度は定時退庁日にわざわざ仕事を作って残業しだす者が出始める。明確な人事査定基準のないお役所では、定時退庁日に残業をすることで、「身を投げ出して頑張っています」という自己アピールをするのである。

役所の仕事の多くは、効率よくやれば定時どころか、半日で終わるものばかりである。もちろん時期的に多忙な場合もあるが、年中続くわけではない。それが定時に終わらないのは、上司がやる気満々の人で、自分の出世のために余計な仕事を作って部下に押し付けていたり、先日紹介した決裁という名のスタンプラリーで一日がつぶれたり、事務手順が非効率的だったりするからだ。

また、個々人の担当業務の中にも、代々の担当者が考案して混ぜ込んだローカルルール(俺ルール)のために、時間がかかっている場合がある。

忙しいときに残業をするのは、勤め人としての責務でもあるから、否定されるべきものではないが、お役所の場合は、まずあらゆる業務の「棚卸」を行い、「これは本当に必要な業務なのか」「直属上司の裁量で処理できないのか」「Excelのマクロなどで合理化できないのか」などを、よくよく精査すべきである。
その上で、各部門の必要人数を割り出し、人員再配置を行えば、ほとんどの残業はなくなるであろう。
慣例と面子を重視する役所にはそれが出来ないことは承知の上で、あえて提言させていただく。【まだまだいます ”親方日の丸”な人々】
  ↓
お役所は「ナントカ週間」がお好き

決裁という名のスタンプラリー

(日曜官僚擁護版)勤務中の私用インターネット

ヤミ専従の今昔

ヤミ専従は何故「闇」なのか