アントニオ猪木の人生がアニメ化されたら最高! ブラジルでの移民生活、力道山との出会い、新日本旗揚げ、タバスコの権利獲得&譲渡、異種格闘技戦、結婚&離婚と余裕で1年続けられるネタの豊富さは異常。

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映画『スピード・レーサー』が公開間近です。ハリウッドでは、このような日本のアニメが元ネタの映画が続々と製作されていますが、それらは全てアニメを実写化するという形になっています。思えば日本のアニメには、この逆とも呼べるパターンが存在します。それは現実の出来事や人物がアニメ化されるという作品です。アニメは娯楽作品なので、面白ければフィクションで完結しても問題ないのですが、現実とのリンクが作品に深みを与える場合もあるわけです。今回はそのあたりを書いてみます。

●『巨人の星』(1968年)
登場する人物:長嶋茂雄、王貞治、金田正一、衣笠祥雄、山本浩二、板東英二 ほか

原作は、梶原一騎(原作)&川崎のぼる(作画)による野球漫画。登場する実在の人物はいずれもプロの野球選手です。原作漫画のタッチを生かしたアニメのキャラクターデザインは実に味わいが深く、テレビのバラエティなどでも時折ネタにされています。実在の人物が実名のまま数多く出演し、架空のキャラクターとストーリーを積み上げていくという点でも非常にユニークな作品といえます。

今年の3月に放送された「やりすぎコージー」(テレビ東京)でも、アニメ『巨人の星』で大リーグ出身の強打者・オズマを板東英二が討ち取ったエピソードが紹介されていました。その際、同番組に出演していた板東英二は「今頃、松坂がスゴいとか何とか言うてますけど、僕が一番初めですよ。大リーガーを抑えたのは!」という素晴らしすぎるコメントを披露してました。

●『タイガーマスク』(1969年)
登場する人物:アントニオ猪木、ジャイアント馬場、坂口征二、ジャック・ブリスコ ほか

原作は、梶原一騎(原作)&辻なおき(作画)によるプロレス漫画。主人公のタイガーマスクは、悪役レスラー養成所「虎の穴」から送り込まれる刺客に命を狙われ続けるという役回り。刺客は体重360kgの「ゴリラマン」とか睡眠薬を使う「エジプトミイラ」といった、怪奇系レスラーばかりなので本当に命がいくつあっても足りません。

そんな中で出てくる実在のレスラー達は、正統派レスラーとして描かれる場合が多く、特に「日本プロレス協会」所属のレスラー達は全員ベビーフェイスとなっています。また実在のレスラーを元にした別名の人物も数多く出演しており、その多くは外国人レスラーで彼らの中にはヒール役も存在していました。このアニメ版『タイガーマスク』は、子供向けの漫画版を大人の鑑賞にも堪えうるドラマに仕立てた傑作としてアニメ史上にその名を刻んでいます。

●『キックの鬼』(1970年)
登場する人物:沢村忠

原作は、梶原一騎(原作)&中城けんたろう(作画)による実録漫画。当時空前の大ブームだったキックボクシングの英雄・沢村忠が主人公です。アニメのダイナミックなアクション描写は、制作スタッフを『タイガーマスク』の経験者で固めることによって実現。ちなみに主題歌「キックの鬼」は、沢村忠本人が歌っています(何気に名曲)。

●『アニメンタリー 決断』(1971年)
登場する人物:山本五十六、近衛文麿、フランクリン・ルーズベルト ほか

タツノコプロが制作した戦記アニメ。"アニメンタリー"は「アニメーション」と「ドキュメンタリー」を合わせた造語です。真珠湾への奇襲やミッドウェイ海戦など、実際に行われた戦いの中で、苦悩し“決断”する男達の物語を描いています。登場する人物はほとんどが軍人、または政治家という非常に骨太な内容。

リアルさを追求するため、実在の軍歌をアレンジした曲を使用したり、エアブラシで炎を表現するなどの工夫がされました。この作品を制作することによりタツノコプロのアニメ制作技術は飛躍的に伸びたともいわれています。長らく知る人ぞ知る作品とされていましたが、2005年にDVDが発売されたのを機に、その存在に再び注目が集まっているようです。

●『アニメ・ドキュメント ミュンヘンへの道』(1972年)
登場する人物:松平康隆、猫田勝敏、南将之、森田淳悟、横田忠義、大古誠司 ほか

『アニメンタリー 決断』と同じタツノコプロが制作した作品。“アニメ・ドキュメント”というタイトルの通り、実在のバレーボール日本男子代表が、オリンピックへ向けて取り組む様子を描いています。ミュンヘンオリンピック開催直前の同時進行ドキュメント番組という前代未聞の内容で視聴者は金メダルを目指す日本代表の活躍に釘付けとなりました。ちなみに日本代表は、オリンピックで実際に金メダルを獲得しています(!)。

●『空手バカ一代』(1973年)
登場する人物:大山倍達(飛鳥拳)、力道山、グレート東郷 ほか

極真空手の開祖・大山倍達がモデルの漫画が原作。アニメ版で大山倍達は「飛鳥拳」という名前に変わってます。ストーリーもヒーローが悪を倒すという勧善懲悪的なものに改変。漫画とはまた違った魅力あふれる作品になっていて、ある意味最強のネタアニメになっています(褒め言葉的な意味で)。ちなみに原作漫画は“実話を基にしたノンフィクション”とされていたものの、実際は8割が原作者・梶原一騎の創作であったとのこと。漫画版もガチで面白いので必見です。

●『一休さん』(1975年)
登場する人物:一休宗純、蜷川新右衛門、足利義満 ほか

とんちで有名な一休さんをアニメ化したもの。1975年〜1982年という長期間放映されていました。

●『アローエンブレム グランプリの鷹』(1977年)
登場する人物:ニキ・ラウダ(ニック・ラムダ) ほか

スーパーカーブームに乗って制作された作品。主人公の轟鷹也は、F1やル・マン24時間レースに参戦して大活躍します。リアル志向の内容が受け、同時期のスーパーカー関連アニメが次々に打ち切りとなる中、2クール以降の延長も果たしました。

■今後の新作登場に期待
このほかにも実在の人物が活躍するアニメには、『ピンクレディー物語 栄光の天使たち』(1978年)、『ベルサイユのばら』(1979年)、『獣神ライガー』(1989年)、『横山光輝 三国志』(1991年)などがあります。アニメ全体の比率でいうと少ないのですが、色々な面で見る者にインパクトを与える印象的な作品が多いように思えます。

最近ほとんど見られないこの手法は、今なら逆にアリなような気がします。ここは発想を転換して実在の人物を用いて新しいヒーロー&ヒロイン像を打ち出すというのも悪くないんじゃないでしょうか。例えばフィギュアスケートの浅田真央とか、水泳の北島康介あたりは、素材としてかなり面白そうだと思うんですが。

アニメ化の際は、実際のエピソードだけだとネタが持たないことは明白なので、宇宙からやってきたフィギュア星人の女の子とか、全身サイボーグ化した正義のスイマー・キタジマとか、思い切ったアレンジをするといいかも。もし実現したらリアルタイムでテレビにかぶりつきで見ますね、ゼッタイ!

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レッド中尉(れっど・ちゅうい)
プロフィール:東京都在住。アニメ・漫画・アイドル等のアキバ系ネタが大好物な特殊ライター。企画編集の仕事もしている。秋葉原・神保町・新宿・池袋あたりに出没してグッズを買い漁るのが趣味。

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