こういう設定の作品となると、主人公は若い女子高生とかになりそうなものですが、本作のマミヤさんの年齢はおそらく30代前半。これには作者のこだわりを強く感じてしまいました。巻末の後書きによると、作者の坂木原レムさんは女性で、本作は元々同人誌向けに制作されていたとのこと。関西弁を操る心優しいマミヤさんは、どうやら商業主義から一歩引いたところから生まれたヒロインだったようです。

荒唐無稽な設定なのでツッコミどころ満載なのですが、細かいところを気にしていたら楽しめません。おとぎ話とか、それこそ怪獣映画を観るようなおおらかな感覚で読むのが正解だと思います。怪獣あり、笑いあり、ロマンスありの本作は、特に昭和の怪獣映画が好きな人にオススメです。

<オススメ度★★★★☆>
<見どころ:怪獣化する主人公の年齢が30代前半というところに個性がキラリ>


■『セーラー服と重戦車』作:野上武志/発行:秋田書店
『萌えよ!戦車学校』シリーズで、秋葉原界隈では有名な軍ヲタ漫画家・野上武志さんの作品です。セーラー服+超ミニスカ+おっぱい+重戦車という、ハイブリッドなヒロイン・かのんは、毎朝戦車で通学する女子中学生。田舎にある公立中学なので、戦車通学が認められているらしいです。この時点で、読者は強制的に頭のネジを外す必要を感じると思われます。
タイトルに感じるものがあれば、レジに持って行くしかありません。それにしてもすごいミニスカです。パンツを隠す気まるでなし。とにかく全編が戦車、戦車、戦車。維持費がかかろうが、ライバル達の戦車よりも旧型だろうが、健気に頑張るだけなのであります。


かのんは「戦車同好会」で、関東最強の戦車乗りを目指しています。同好会の友達と共にパンターF型(ドイツ製戦車)を操り、襲いかかるライバル達と戦車戦を繰り広げます。萌えに特化した雑誌「チャンピオンREDいちご」の連載作品だけあって、パンチラとかパンモロとかローアングルとかツンデレとか、萌え要素はてんこ盛り。

戦車ネタをスポ根風にアレンジするという、無謀にも思える表現に挑戦しているのが本作。実弾の撃ち合いでも人的被害がかすり傷程度で済むところは、萌え雑誌連載の限界をちょっとだけ感じてしまいますが、『頭文字D』や『HELLSING』へのオマージュがあるなど、作者はノリノリのようなので、まあこれもアリなのでしょう。

ミリタリー関連の知識がない読者も楽しめるよう、注釈などもしっかり入ってますが、戦車という特殊なネタだけに、ストーリー展開やアクションシーンの組み立ては、作者もやや苦戦しているように見えます。とりあえず、戦車への愛はほとばしってますので、絵柄が好みでミリタリーが好きならば買いかも知れません(多分)。

<オススメ度★★★☆☆>
<見どころ:戦車でドンパチしても誰も死なない青春スポ根コメディ(萌え多め)>

■カオス通信バックナンバー
男塾か、ビーンか、俺フィギか?! 日英米ギャグ映画大決戦
毒ギョーザだけじゃない 漫画で読む「危険な中国」
舘ひろしが挑む“あぶない『ゴルゴ13』”
R30なマニア向け?ファミコン満載のゲーム雑誌「ゲームサイド」に燃える
カオス通信バックナンバー一覧

■こちらもオススメ!ライブドア独自コラム
独女通信 | オトコ魂


レッド中尉(れっど・ちゅうい)
プロフィール:東京都在住。アニメ・漫画・アイドル等のアキバ系ネタが大好物な特殊ライター。企画編集の仕事もしている。秋葉原・神保町・新宿・池袋あたりに出没してグッズを買い漁るのが趣味。

Copyright 2008 livedoor. All rights reserved.