鈴木亜美(撮影:野原誠治)
 Buffalo Daughter、THC!!、キリンジという個性的な3組との“join”シングル3作を経て、昨年3月にアルバム「CONNETTA」発表した鈴木亜美。その後発表された中田ヤスタカ(capsule)、Aly&AJとのシングル2作では、自身にとって原点回帰と言えるクラブミュージックへ傾倒していった彼女が、今月6日に2作目となる“join”アルバム「DOLCE」を発表した。

――今作の「DOLCE」で“join”アルバムとしては2作目となりますが、前作の「CONNETTA」を経て、今作はどんなアルバムにしようと考えていたんですか?

鈴木亜美(以降、鈴木):作り始めた最初の頃は、「CONNETTA」の続きという感じで、ホフディランさんYO-KINGさんにお願いしていました。それで「FREE FREE / SUPER MUSIC MAKER」を中田さん(capsule)と作業して、シングルリリースされた後にクラブを回るようになって。中田さんとやったこともあって、私の中で「やっぱり、クラブミュージックって好きだなぁ」と思って(笑)。「もうちょっと、こっちに片寄っていきたいな」という想いがあって、DJをされていた方とか、そういう方面に注目してみましたね。

――「CONNETTA」と同じ方とではなく、また新たな人達に“join”しようと思っていたのですか?

鈴木:そうですね。常に新しい方と。まだ、自分の本当にやりたい音楽というものを探している時だったので。

――中田さんとの「FREE FREE」から始まりYO-KINGさんとの「新しい日々」まで、クラブミュージックが好きな方からロックファンまで楽しめる楽曲が揃っているかと思いますが、アルバムタイトルはなぜ「DOLCE」に決めたのですか?

鈴木:自分のすごく好きなジャンルが集まったせいか、出来上がった時にワクワクするような気持ちになったので、「これを聴いて下さい!」というメインディッシュ的なアルバムというよりは、「お腹イッパイでも、これは別腹」という感覚で(笑)。気分によってデザートが変わるように、「その日その時の気分で好きな時に、お好みの味を選んで聴いて下さい」というような。すごく自信のあるものが出来たからこそ、「ちょっと、ツマミ食いしてみる?」みたいな気持ちで聴いてもらってもいいと思います。フワッと気持ちが温かくなるような、まるで甘いスイーツを目の前にしたような感覚を感じるアルバムになったので、ちょっとお洒落にデザートに例えてみましたね(笑)。

――前半のデジタルでクールな印象から、後半のアナログで体温の感じられる雰囲気へとグラデーションを描いて繋がっていて、個性的なアーティストやクリエイターの方と“join”した今作ですが、曲順はすんなりと決まったのですか?

鈴木:割とそうですね。ライブに来て聴いているようなクラブチューンが多いので最初っからブっ飛ばしていって(笑)、後半に緊張感がほぐれていく感覚になるようなアルバムの流れになったらな、って考えましたね。

――他のアーティストの方と“join”していく作業の中で、何か新たな発見などはありましたか?

鈴木:すごく不思議なのが、音楽をやっている人達とのコミュニケーションって、普通に普段話しているよりも、音楽を流したり、その音楽をやっている作業中だったり、そういう時の方がすごく伝わりやすくて。会話じゃなくて、音で会話しているような感覚というか。私も歌って、表現して、「あぁ、そういうことを考えているんだ」って、自然と相手に伝わってしまう感覚がありました。変に「相手のことを分かろう」と会話をしなくても、音楽が会話となってお互いの気持ちが分かるんですよ。皆さん「音楽が好きなんだな」って、本当に分かりますよね。