国内で許可されている散弾銃は30万丁近い(写真はイメージ)

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   長崎県佐世保市のスポーツクラブで2007年12月14日起きた殺人事件で、犯人が使ったのは散弾銃だった。散弾銃は所持の許可を得るのが容易だし、銃自体も中古品なら数万円で買え、現在、所持が許可されている散弾銃だけで全国30万丁近くに上るのだという。殺人事件も多発し、「日本は銃社会に入った」との見方も出てきた。

大抵の人は散弾銃の合法的所持が出来る

   07年は銃を使った殺人事件が相次いでいる。07年4月には、当時長崎市長の伊藤一長氏が凶弾に倒れ、一カ月後には愛知県で立てこもり事件が起き、警察官が犠牲になった。また、07年11月には佐賀県で入院患者が人違いで射殺された。佐世保市の事件の場合、犯人は軍事マニアで、散弾銃3丁と空気銃1丁、そして散弾銃の実弾を2700発も所持していた。

   散弾銃・ライフル銃のファンが集まるホームページを見ると、こんなことが書かれている。

「犯罪歴や麻薬中毒でもないかぎり、きちんとした免許対策を行えば大抵の人は散弾銃の合法的所持が出来るのです」

散弾銃所持の所持許可を得る手順は、(1)猟銃等講習会(2)射撃教習の申請(3)射撃教習(4)所持許可の申請、ということだが、(3)の「射撃教習」は空中に飛ばした粘土状の皿「クレー」を25枚中2枚に当たると合格になる。2006年度の「警察白書」を見ると、所持許可を与えている散弾銃の数は、2005年末で27万4911丁。総数は多少減る傾向だという。それでも、ライフル銃、空気銃など銃砲合計では38万8856丁になる。新規に許可した銃砲は05年が2万3000丁。日本経済新聞の07年12月17日付けによれば、散弾銃の新規申請を不許可にしたのは01年からの5年間で57人だけなのだという。

新品で10万円台半ばから20万円台で買える

   散弾銃はインターネットのショップでも売られていて、新品で10万円台半ばから20万円台で買える。中古になると数万円というものまである。弾丸の値段は1発35円〜40円。いつの間にか「身近」な物になってしまっているのだ。

   毎日新聞の大阪版07年12月16日付けには1990年に銃撃被害を受けた元長崎市長、本島等さんのコメントが掲載されていて、銃撃された90年代当時はまだ特別な凶器であり、米国のような銃容認社会でしか起きない、という論評もあった、としたうえで、

「現代は道徳心が低下し、人を殺すことへの良心の呵責がなくなってきている。長崎前市長と今回の事件は、日本にも本格的な銃社会になったことを示しており、規制を強化する時期になったと思う」

と警鐘を鳴らしている。

   これから銃砲の所持規制は強化されるのか。警察庁広報はJ-CASTニュースの取材に対し、これまでも容易に許可を出していたわけではなく、所定の手続きを経たものを厳正に審査してきたとし、

「現時点で銃砲所持の規制を強める、という話は来てはいないが、何らかの動きがあれば適宜に広報していきたい」

と言うにとどまった。

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