応募者の真実をしるために「面接で必ず聞く質問」

技術面接なら「技術」という接点がある。入社を希望しているわけだから、職種や業務内容が全く異なることもないだろう。しかし、人事面接はどうか? 主に1次面接として行われるため、ここで落ちたら不採用だ。しかも採否のポイントはわかりにくい「人物像」。そんな疑問を3人の人事面接官に聞いてみた。

[今回取材した3人の人事面接官]-------------------------
外資系ソフトウェアベンダー:竹下芳郎氏(仮名:32歳)
国内系コンサルティングファーム:江藤小百合氏(仮名:34歳)
国内SI企業:熊谷武人氏(仮名:35歳)
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こんな応募者はダメ!会ったときからすぐわかる
まず聞いたのは「こんな人はNo Thank You!」といった応募者。実務経験や技術力を語る以前にこの「烙印」を押されてしまうと、採用において圧倒的な不利になる。取材前はどんなエンジニアだろうかと興味津々だったが、聞いて思わず納得した。

■江藤氏:態度で相手に不快感を与える人はダメです
困るのはビジネスマナーを知らない人です。コートを着たまま応接室まで行き、コートを脱いで勝手にハンガーに掛け、カバンを隣の席(イスの上)にさっさと置く。また、「面接に来てやっている」という尊大な態度で接する。こんな人を仲間として迎えて、お客様の前に出せるでしょうか。
私が受付に出て部屋までご案内し、お茶を出すこともありますが、この1〜2分での人物評価は8割方当たります。2次の技術面接でも同じ意見が出てくるのです。それは、こうした不快感を相手に与えていることに、当の本人が気づいていないからでしょう。つまり、その人の「地」なのでリカバリーが難しい。マナーや態度だけで不採用にはなりませんが、人事も現場も「こりゃダメだ」と思ってしまうのは間違いありません。

■熊谷氏:でかい態度で嘘をつく人は採りません
ため息をつく人は嫌ですね。「しょうもない質問するんじゃないよ」といった態度の自信家タイプで、採用意欲が一気に減退します。そんな人に限って「これもあれも自分でやった」と吹聴しますが、質問を続けるとうそだとわかってくる。採りません(笑)。
また、自分のペースでしか会話ができない人も減点です。転職理由を聞いているのになぜか自己PRを始め、苦労した経験まで続けてしまう。用意してきた内容を一本調子でしゃべっているだけで、会話のキャッチボールができないんです。こうした態度や言葉は、技術力が高くても不採用になりがちです。
目を見て話さない人はどうしても評価が低くなります。それと不潔な人。服装が清潔であることは、社会人として当たり前のことです。

■竹下氏:チームを考えない自分中心の人は断ります
例を挙げると、金融系システムのプリセールス募集でした。職種、実務経験、経歴とまさにぴったりな人物で、現場は今すぐに欲しいという。しかし私は、人物面で難があると思いました。プロジェクトの失敗談を聞くと、「上司が悪い」「あいつがヘマをした」などと他人を非難する言葉ばかり。こんな人では、チーム内にあつれきを生むと思ったのです。
弊社の採用は現場の権限が強く、「とんがった人でもいい」と言われましたが、私は「ならば人間的な成長を約束できますか」と主張して、別の応募者を探すことを約束しました。現場が「今の仕事」を基準にするのに対して、人事は「長期的に双方が幸せになれること」を見ていますから。
また、年収を上げたい、技術力を高めたいと、自分の希望ばかりを求めてくる人は困ります。そんな人の多くは今の会社を出たいだけなので、入社後に何がしたいか、できるのかを語れないのでしょう。


こんな応募者だったら、もう採用せずにはいられない
Part1では手厳しい言葉が並んだが、望んでいるのはどんなエンジニアなのだろうか。何年も人事面接を担当してきた彼らに、ぜひとも採用したい人物像を語ってもらった。個人的な資質も関係するから、現実的には難しい人もいるだろう。

■熊谷氏:相手の気持ちに立てる人とは相思相愛になれる
配慮のできる人です。細かなことでは、きちんとあいさつができたり、退出時にイスの位置を直したりするような人。理想的には、質問していないのにこちらの気持ちをつかんで、フォローするような内容を話してくれる人。こんな人は的確で論理的な会話ができますし、話していて面白いんです。
もちろん、技術力や実務経験はチェックしていますが、そこに疑問があっても2次面接に上げます。現場でも気に入ると思いますし、不足している部分は本人に伝えて、研修を受けてくださいなどとアドバイスもします。既に当確なわけです。こうしたエンジニアは人物面での評価も高いのですが、リーダーとしての資質も感じますね。

■竹下氏:タフで、行動的で、問題を解決できる人は引く手あまた
自律・自立していて、精神的なタフさを感じる人がいいですね。例えば仕事でトラブって、会社が自宅のようになり、必死で解決策を探って、どうにか成功に導いた。それを「してやったり!」と喜ぶような人です。こうした経験をもつ人は口下手であっても、聞けばいくらでも事例が出てきます。常に行動的に動いている証拠です。
弊社で採用が難しいのは、ひとりで開発をしてきたプログラマや工程管理だけを行うプロマネなど、経験の幅の狭い人なんです。しかし、上記のタイプなら、プログラマなら独学でネットワークやOSの勉強をする、プロマネなら開発実務の中身を別の人からヒアリングするなど、自分の仕事を検証して行動しているものです。

■江藤氏:真摯で積極的な人に「心意気」でこたえることもある
最初の印象が大切ですから、ほほ笑んでほしいです。こちらの対応も自然と優しくなります。どんな職種でも他者と接する機会はあったはず。社会人なのですから、無愛想な態度が許されたとは思えません。まずは笑顔です。
そして、真摯な一生懸命さです。開発経験3年、退社後の半年でJavaの勉強をしていたという応募者がありました。弊社の希望する技術や業務内容ではなかったのですが、「1カ月はタダ働きでも構いません。私を見てください」と言うのです。「彼はやるな」と感じて通過させました。入社後はものすごい勢いで技術をキャッチアップし、現在では欠かせない戦力となっています。
また、不採用となった応募者から電話があり、理由を伝えたら、「それならこうした経験があるのでカバーできる」と言われ、最終的に採用したケースもあります。「心意気を買う」ことも現実には多いのです。

応募者の真実をしるために「面接で必ず聞く質問」
応募者の本音や実力を探るため、面接官はさまざまな言葉を投げかける。ベテランになるほど、採否の決め手となる質問を用意しているものだ。それは人事面接官であっても同じこと。面接で必ず質問するというフレーズを教えてもらった。

■竹下氏:負荷がかかている状態とはどんなときですか?
負荷の内容よりも解決方法を知りたいのです。ただ、自力だけで解決策を探す人、周囲を巻き込んだ方法を考える人などいて、正解はありません。ですので、私が感心した例を挙げます。
その方は上司と顧客の間に挟まれて悩んでいました。顧客の立場でベストな選択を上司に提案したのですが、会社の事情から却下されました。私にもその選択が順当と思えたのですが、彼はその案件から降ろされてしまうんですね。ここまで聞くと失敗例ですが、実は彼と顧客が相談していたのです。すべてが白紙に戻った後で、同じ顧客の仕事を別の案件として提案し、最終的に受注が決まったのです。「やるなぁ」と思いましたよ。
また、競合他社への応募を確認した後で、「あちらの会社への志望動機は何ですか?」と聞くこともあります。少しいやらしい質問ですが、こうした回答から応募者の悩みややりたい仕事が徐々に見えてきます。

■熊谷氏:あなたはなぜ転職したいのですか?
しつこく、何度も繰り返して聞きます。理由は、転職しなくてもすむ人がいるためと、弊社に転職してもやっていけない人がいるからです。
前者の例では26歳の若手SEがいました。技術の現場を外されたことが転職理由でしたが、よく聞くと、彼を育てるために経験を積ませていたのです。しかも、異動から1カ月しかたっていない。その企業を知っていたこともあり、「いい会社だから転職せず、1年して状況が変わらなければ考えたら?」と伝えました。人材紹介会社経由でしたが、しばらくして「転職をやめた」と連絡がありました。
後者の例では、ポジションを若手に代えられた、40歳のプロジェクトリーダーがいます。質問を続けると仕事に工夫がなく、管理者としても適任とは思えない。今の会社もそう評価して若手を登用したのだと合点し、採用には至りませんでした。そもそもリーダーとして成果を出している人なら、転職理由はもっと積極的な事柄のはずです。

■江藤氏:周りからはどんな人だと言われますか?
長所と短所を質問してもほとんど同じ答えになりますが、こう聞くとかなりの差が出ます。それに、後で整合性が取れなくなりますから、言われていないことは答えられません。例えば、「見かけと違って優しそう」と聞くと、「物事を頼みやすい人かな」と思うわけです。
ただ、一度だけでなく、「ほかにはどう?」といくつも別の答えを求めます。すると、長所というよりも、本質的なものの考え方や行動様式、それにコミュニケーションの特徴がわかってきます。
人事の視点は「この人と一緒に働きたいと思うか」で、技術スキルや経験を判断するのは現場です。ただ、現場が人物面で採否を迷っているときにはアドバイスをします。将来的にお互いが苦労しそうな人材なら、「ノー」と言う場合もあります。
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