死のゲームを仕掛ける主人公・ジグソウ(ジョン・クレイマー)を演じるトビン・ベル

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戦慄のソリッド・シチュエーション・スリラーである「ソウ」。ハロウィンを恐怖のどん底に陥れ、全世界に衝撃を与えているシリーズ最新作「ソウ4」が、11月17日(土)より全国ロードショートなる。その公開に先駆けて、死のゲームを仕掛ける主人公・ジグソウ(ジョン・クレイマー)を演じるトビン・ベルが来日。お話を伺った。

■「ソウ」シリーズも4作目まで来ましたが、その感想をお聞かせください

ジグソウは本当に面白い人物で、高いポテンシャルを持ったキャラクターだね。一緒に撮影をしてるチームは、とても密なコラボレーションをしている本当に楽しい仲間なんだ。それは映画とテレビの世界では、とても珍しいことなんだよ。映画やテレビの世界は、トップダウンのことが多いからね。でも「ソウ」のシリーズでは、各々の責任感を皆が分かち合って作っているから、作品にいい影響を及ぼしているよ。

■「ソウ」シリーズでは殺人をゲーム化していますが、それをどう思われますか

殺人は、英語でいえば、"murder"や"killing"というが、彼がやっているこは「殺人」と言う意味とはちょっと違うんだ。映画の中でジグソウ(ジョン・クレイマー)自身が「自分はただ殺人をしたくて人を殺しているわけではない」と言っている。どんなに少なくても、助かるチャンスを与えているんだよ。

ストーリーの一部、キャラクターの一部、彼自身がそのことを映画の中で明確にしているだけに、「殺人」という言葉だけで使われたり、「連続殺人犯」という言葉が出てくるときには、必ずそうではないと言っているんだ。

そういう微妙なラインというのは、我々の世界には普通に存在していると思う。殺人も毎日、起きているしね。でも、死に至る行動は、実は犯罪者側ではなく、殺された人の行動がきっかけで起こる事もある。だから、結果の方が大事だと思うよ。

■そのゲームを演出しているジグソウという人物をどう思いますか

彼は、こうと決めたら他の事は見えないタイプの人物。自分がこれをやるんだと、一つの行動を決めたならば、他人がそのことに賛成しようが反対しようが、それをやりとおすような力を持っている男だよ。

我々は誰しもが周りの人間に対して、それなりの文句は持っていて、それを口に出したりする。彼も不平不満を持っていて、多くの人がそういう衝動を持っていても行動しないことを、実際に行動しようと決めた男だと思うよ。

人間は、悲しみであったり、恐怖であったりという、自分のベーシックな感情によって突き動かされて行動することが往々にしてある。彼の行動の動機も一つではなく、複数の動機が重なり合っているんだ。そういった様々な感情を一皮ずつむいていき、全てを剥ぎ取ってとって受け止め、凝縮して明確にしていき、自分の行動の動機にしているんだ。

他人には理解できない動機なのかも知れないけれども、彼には分かっている。それを映像として綺麗に見せるということは、我々はしないよ。彼の動機や、なぜそのようなことをするのかは、皆さんが映画を見ているときの頭の中のイメージを組み合わせて考えて欲しいんだ。

言い換えれば、彼がどうしてそういう行動をするのかという理由を、知的な観点から説明することは僕にも出来る。でも心理的な理由は分からない。悲しみや怒り、恐怖のようなものが交じり合っているからね。

■ご自身が「ソウ」の中で描かれているようなシチュエーションに追い込まれたならばどうしますか

例えば、救命ボートがあって数人しか乗れない。自分は覚悟しているけれども、他の人に譲ってあげれらる人というのは凄く珍しい。人格者でなければ出来ないと思う。自分の命を犠牲にするということは、自然ではない。自分のテリトリーを守ろうとしない動植物はいないからね。それは基本的なことだよ。