中国産のウナギに対するここ最近のいろいろな報道や「食の安全」に関する諸々の事件の影響で「その表示は本当に信じていいのか?」という風潮が広がっており、だからこそどこのメーカーも真摯に対応しているはず……なのですが、「そのウナギは本当に国産なのか?」ということで、実際に中国産と鹿児島産、そしてさらに一体どこが産地なのかよくわからない謎のウナギを近所のスーパーで発見したので、その3種類を買ってきて食べ比べてみました。

というわけで、予想だにしない衝撃の結果は以下から。
まずは中国産、たった一匹しか売ってませんでした。というか売り場面積が一匹分しかありませんでした。なんという扱い。先週まで大量にあった中国産ウナギはどこに消えたのでしょうか?

お値段はなんと480円。お買い得とか言うレベルを超えていますが買うのに勇気が必要です。

で、この2つはたぶん国産。なぜ「たぶん」なのかという証拠を以下にお見せしましょう。

まずこれ、「鹿児島」と書いてあります。690円。

そしてもう一つがコレ、「鹿児島」と書いてあります。798円……あれ?

で、「鹿児島」ではなく「鹿児島」と書いてある方にはこういうシールも貼ってあります。「鹿児島県産」で、製造者も明記してあります。

見かけはこの両方のウナギともにほとんど同じように見えるのですが……重さもほぼ同じで、消費期限も同じ、なのに価格が違う……どういうことなのでしょうか……?

さらに買ってはいないのですが「●●加工」(●●にはとある都道府県名が入る)というウナギもありました。加工工場の地名表示はいいのですが、原産地はどこなのでしょうかね……。

なぜこんなことになっているかというと、過去にこういう事があったからです。

加工食品に関する共通Q&A

原産国とは、景品表示法に基づく「商品の原産国に関する不当な表示」に規定しているとおり、「その商品の内容について実質的な変更をもたらす行為が行われた国」のことを指します。

そのため、中国産のウナギを国内で加工して、その加工した地名のみを表示して「国産だ」と称するという悪質な行為が過去には行われていたようです。しかし法律が改正されたので(JAS法)ちゃんと原産国の表示が必要になったというわけ……なのですが……。

ちなみに平成15年に農林水産省がこのような調査を行っています。

うなぎ加工品の原料原産地表示に係る追跡確認調査の結果概要

これを読むと「国産」表示のウナギの蒲焼きを買ってきてDNA調査をした結果、98.1%が正しかったと言うことになっており、残りについては「原料原産地の誤表示」「原料原産地の欠落」「原材料名の欠落」「保存方法の欠落」でアウトだったらしい。とはいうものの、このDNA調査が実は落とし穴。

(独)農林水産消費技術センターにおいて、使用した原料のうなぎが「国産」である旨の表示がされている80商品(80業者)を買い上げ、その品種の確認のため、DNA分析を行ったところ、全商品が「ジャポニカ種(ニホンウナギ)」であった。

国内で消費される主なうなぎには、ジャポニカ種(ニホンウナギ)とアンギラ種(ヨーロッパウナギ)があり、ジャポニカ種は日本及び中国・台湾において企業的に養殖されている。
一方、アンギラ種は中国において企業的に養殖されているが、日本では試験的な養殖のみとなっている。

このことから、うなぎのDNA分析の結果、アンギラ種であることが確認された場合、当該原料は輸入品である可能性が高いことから、仮に原料原産地の表示に「国産うなぎ」と謳っている場合には、その表示内容に疑義が生じることになる。


上記引用部分をよく読めばわかりますが、海外でもその「国産うなぎ」である「ジャポニカ種」を養殖しているわけでして……つまりDNA調査をしてもわからないわけです。実際に以下のページで中国でのウナギ養殖についてレポートしています。

中国の鰻蒲焼事情.html

福州市近郊の養殖池にて。
ここは福州市近郊のジャポニカ種の養殖池のひとつ。

ここで生産されているのは主に日本人が昔から食べていたウナギと同じジャポニカ種で、これを原料に長焼、串焼き、白焼きを生産し、ほぼ100%を日本向けに輸出している。

この通り、DNA調査ごときでは何もわからないと言うことです。ただし、中国で生産して加工したモノについてはちゃんと「中国産」と表示する……というわけ。中国で取れたジャポニカ種を輸入して国内のどこかの加工工場でウナギの蒲焼きにしてしまった場合、もうDNA調査なんかではどこのものかは判明しないというわけ。なので、中国から日本国内に輸入されているウナギの量が本当に減っているのかどうか、あやしいところです……。

自称「国産」ウナギもその実態はもしかすると、中国で養殖したウナギを日本国内で加工しているだけなのかもしれず。なので、ラベルに「原産国名」がない場合はかなりあやしい。「加工食品に関する共通Q&A」の「問9」によると、国内で「商品の内容について実質的な変更をもたらす行為」を行った商品、まさに「うなぎ蒲焼き」がそれに合致するわけですが、その場合は原産国名は表示しなくともよく、その代わりに「原材料名」に「うなぎ(国産)」と表示する必要があるわけです。

「鹿児島」と表示された690円のウナギ、「鹿児島産」と表示された798円のウナギ……どうなんでしょうかね……。

きっと食べればわかるかもしれない……というわけで、実際に食べてみました。

・続き
今日は土用の丑の日(後編):「中国産」vs「鹿児島」vs「鹿児島産」

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