「第1回しずおか映画祭」開幕、ゲストの戸田恵梨香としずおか映画祭実行委員会代表の磯村勇斗

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 俳優の磯村勇斗が企画・プロデュースを務める「しずおか映画祭」が5月23日、静岡市の清水文化会館マリナートで開幕。1日目・第2部では、静岡・沼津出身で、昨年亡くなった原田眞人監督への感謝を込めた特別追悼上映として、『駆込み女と駆出し男』(2015年)が上映された。上映前には、本作で“鉄練りじょご”を演じた戸田恵梨香が登壇した。

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 会場は女性客を中心に満員に。大歓声に包まれながら登場した戸田は、「こんなたくさんの声援をいただいて、本当にうれしく思います。こんなにリアクションしてくださるお客さまって、なかなか……」と笑顔。磯村も「静岡の皆さんは本当に温かいんですよ」と続け、会場を和ませた。

 実はこの日が初対面だったという2人。戸田は、「磯村さんがこういうことをされているとは思っていなくて。本当にこれからの映画界を担ってくださる、たくましい俳優さんだなと思っています」とエールを送り、磯村も「戸田さんにそう言っていただいて、背中を押していただいている気分です」と感激した様子を見せた。

 また、磯村は戸田をゲストに招いた理由について、「僕は『デスノート』や『ライアーゲーム』世代。役者を目指す前からずっと見ていた方なんです」と説明。「原田眞人監督作品に出演されているということで、ぜひ第1回しずおか映画祭に来ていただきたいと思い、お声がけさせていただきました」と熱い思いを語った。

 一方、戸田は磯村について、「『不適切にもほどがある!』のムッチ先輩の印象が最新だった」と笑いを誘いつつ、「独特な空気感を持っていらっしゃる方。すごく惹きつけられる方なので、これからお芝居でご一緒できる機会があったらいいなと思いました」と語った。

 さらにトークでは、Netflixシリーズ『地獄に堕ちるわよ』で細木数子役を演じた際のエピソードにも言及。磯村は「戸田さんがどのように演じるのか本当に楽しみだった」と語り、「時代ごとに表現を変え、晩年のシーンではオーラや貫禄がまるで違った。本当にすごい役者さんだと思いました」と絶賛。

 戸田も「どうしたもんだろうと思いながら、一生懸命なりきりました」と笑顔を見せた。

 そして話題は、原田監督への思いへ。

 先日行われたお別れ会にも参列したという戸田は、「自分の心の支えというか、お芝居をしていく上で、原田さんに認められたい、ほめてもらいたいという気持ちがずっとありました」と吐露。「すごく大切なものを失ってしまった喪失感が大きいです。今回こういう形で原田さんを追悼できることが本当にうれしいです」と故人への深い思いを語った。

 『駆込み女と駆出し男』については、「原田さんの熱量が本当にすごくて、“絶対にこの人と仕事がしたい”と思いました」と回想。「脚本以上に監督自身に魅了されました」と明かした。さらに、「原田さんは、全ての登場人物に愛情を注いでいる監督でした。だから多くの役者さんに愛されたんだと思います」と語った。

 また、本作のテーマにちなみ、映画業界における女性の働き方についても話は広がった。

 戸田は、出産を経て仕事への向き合い方が変化したことを率直に語り、「女性が諦めることなく働き続けられる環境になってほしい」とコメント。映画業界専用のベビーシッター制度など、現場環境の変化にも触れながら、「一人一人が認められ、光を見いだしていける時代になってきたのはうれしい」と語った。

 さらに、自身の人生観について問われた戸田は、「20代、30代は目標に向かって突き進んできましたが、子どもを産んでから、自分の人生の一区切りを感じる瞬間が増えました」と吐露。「これから40代をどう生きていこうか、もう一度考えたい」と静かに語った。

 その言葉を受け、磯村が「戸田さんの言葉にはブレない芯がある」と投げかけると、戸田は自身の死生観についても告白。「阪神・淡路大震災を経験し、“人はこんなにも簡単にいなくなってしまうんだ”ということを知りました」と語り、「だからこそ“生きてほしい”“好きだ”という気持ちが強いのかもしれない。そこから“諦めたくない”という熱が生まれる」と、自身の根底にある思いを明かした。

 さらに、「クリント・イーストウッドのように、年齢を重ねながら作品を作り続ける俳優になりたい」と将来の夢も告白。「80代の自分だからできる作品をやっていきたい。死ぬまでこの仕事を続けたい」と力強く語り、その真摯(しんし)な言葉に、磯村も終始感銘を受けている様子だった。

 最後に戸田は、「本当に原田さんの愛情がたっぷり詰まった作品です。一人一人の登場人物がどうしたって好きになってしまう」と作品への思いを語り、「この作品が、皆さんの心にそっと寄り添ってくれるものになったらうれしいです」と観客へメッセージを送った。