「トイレで涙がブワーって」入社直後にセクハラ被害、激務で生理が8か月ストップ…元TBSアナ・木村郁美(53)が語る“アナウンサー時代に迎えた心身の限界”〉から続く

 現在はフリーとして活動する、元TBSアナウンサーの木村郁美(53)。TBS時代、レギュラー9本を抱えるアナウンサーとして忙しく動き回る裏で、“悪魔”と呼ぶ元夫から預金を奪われ、連帯保証人にされた結果、計3億4000万円もの借金を背負うことになったという。

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 そんな彼女に、所沢から赤坂までの地獄のような通勤、多忙が引き起こした結婚願望、元夫との出会いなどについて、話を聞いた。(全6回の3回目/4回目に続く)


木村郁美さん ©石川啓次/文藝春秋

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休みは週1回くらい、寝て掃除して終わりの“プライベートゼロ”生活

――生理が止まるほど多忙だったとのことですが、プライベートの時間もゼロに等しい状態でしたか?

木村郁美(以下、木村) 金曜の夜にお酒を飲みに行けたり、友達と会えたりすることもありましたけど、行っても途中から寝てるので、みんなそっとしといてくれるみたいな。「また寝ちゃった」って。で、起きると「はい、じゃあ帰るよ」って。

 休みは週1回くらいでしたけど、寝て、掃除して終わりでした。

――そんな状況下で結婚のことが頭にチラついたりは。

木村 私はごく普通の家庭に育ってて。親戚の誰もが普通に結婚して子供がいて、という感じなんです。お医者さんとか弁護士が親戚にいるわけでもなく、会社に勤めて子供を産んで、育てている人たちばかりで。

 みんなのそういう姿を見てきたので結婚願望というよりも、結婚は当たり前だと思ってたんで、「いずれは私もそうなるだろうな」と。

――てっきり“やんごとなき一族”の出身なのかと。

木村 もう全然、ごくごく一般的なサラリーマンの家庭です。父の転勤で4年間ドイツに行ってたり、高校生のときにアメリカに個人留学したり、そこだけを聞くとそんなふうに思われるかもしれないですけど。実家は所沢で、下水も通ってなかったですから。

 山の奥のほうで、『となりのトトロ』の舞台になったあたりなんですよ。父は「下水が通る」って話を信じて、その土地を買ったんですけど、ついぞ最後の最後まで通らなくて。最寄りの西所沢駅ですら自転車で30分かかるので、だいぶ田舎ですね。

「夜の12時前に家を出なきゃいけなかった」所沢から赤坂まで2時間かけて通勤する“ツラさ”

――TBSのある赤坂まで2時間掛かったとお聞きしましたが、納得ですね。

木村 しっかり2時間かかります。当時は同じ所沢市内で引越した後だったんですが、それでも最寄りの駅からはバス通勤。そのため、最終バスに乗り遅れないように早めに赤坂を出ちゃうので、4年間はほぼ飲み会とかにも参加できず……。

――さすがに仕事に支障が出ますね。

木村 『チューボーですよ!』をやってた時、プロデューサーに「あなたね、この番組やってる以上、巨匠のレストランぐらい行きなさい」って言われて。「いや、終バスが……」とか言ってたら、「そういうことじゃないの!」って。

 あと、早朝の番組もやってて、夜の12時前に家を出なきゃいけなかったので、体力的にも厳しくて。そのプロデューサーの言葉がガツンと響いて、「そうですね、もう引っ越しします!」って。それで一人暮らしを始めました。

「誰かに助けてほしい」という状況で…“悪魔”と呼ぶ元夫との出会い

――結婚について「いずれは」と考えていたとのことですが、焦りみたいなものは感じませんでしたか。

木村 気づいたら33歳になってて。でも33歳だから焦るとか、そういう気持ちも特になく、「まあ、いつか結婚するもんだろう」と。

 それとは別に、あまりに仕事で忙しいのがキツくてつらくて、精神的にも少しまいり始めていて。「誰かに助けてほしい」って気持ちがすごく強かったんです。

――結婚に救いを求めていた。

木村 結婚するとパートナーができるわけじゃないですか。そうすると、その人の広い羽の下で、ちょっとは休ませてもらえるんじゃないか、って。その時期、なんだか結婚に救いを求めてたんです。だからといって、相手を探すこともしてなかったんですけど。

 フリーにならないかってお誘いもあったんですけど、私はメインよりもアシストするのがすごい好きなタイプなので。「フリーは私の性格を考えると違うし、でもこのきつい状況から抜け出したいな」って悶々としてたら、“悪魔”に出会っちゃうんです。

――元夫とは、どのような出会い方を。

木村 33歳のときですね。私、ワインエキスパートの資格を持ってるんですけど、知り合いになった人が、同じように資格を取ったばっかりで。その人が、悪魔の主催するパーティーに出すワインのセレクトと司会を頼まれたと。

 で、私がアナウンサーでワインエキスパートの資格も持っているのを聞いて、「すいません、木村さんがやってもらえませんか」と言われて。「会ったことのない人が開くパーティーでそんな」と思ったものの、あんまり断るのが得意じゃないし、その日はちょうど空いてたので「じゃあ、やります」って。そこで出会ったのが最初なんです。

「顔は覚えてるんですけど…」元夫の第一印象を覚えていないワケ

――パーティー当日のことも聞かせてください。

木村 その日、別に風邪もひいてないし、病気があったわけでもないんですけど、すごく体調が悪くって。こんなに調子が悪かったこといままでないってビックリするぐらいで。

 電柱から電柱まで進むのもやっとなんですよ。たどり着いた電柱にしがみついて、覚悟を決めて次の信号まで移動するという、謎の具合の悪さで。

 あんな具合の悪さ、あとにも先にもないんですよ。体が重いんです。熱があるわけでも頭痛がするわけでも、発疹が出てるわけでも、なんにも症状ないから自分としても何が起きてるのか分からないんです。しゃがんでは立って、歩いてはしゃがんでの繰り返しで。

 今にして思うと、ご先祖様が総出で「絶対に行っちゃダメ!」って、私のことを羽交い締めにしてたんじゃないかなって。

――それでも、責任感から会場へ向かった。

木村 引き受けた以上やらなきゃいけないし、「お会いしたことないけど、主催の方に迷惑かけちゃいけないし」なんて思いながら、ほうほうの体で行った先で知り合っちゃうんです。

 悪魔の第一印象とか聞かれるんですけど、覚えてないんです。顔は覚えてるんですけど、そのときどういうふうに相手のことを感じたのかまったく覚えてなくて。ただ仕事をやり通したっていう。

初めての食事の席で「ここにもう俺の子どもいるの」と言われて…

――のっけから積極的なアプローチがあったのですか。

木村 そのあとにお礼のメールが来るんですよ。そうしたら、当時メディアによく出ていた有名な経営者の方と仲がいいと。もうそこからすでに始まってるんですよ。

 その人と一緒に食事に行かないかと誘うんですよ。その人はテレビにも出ているくらいの方だし、その人のお友達というならばまったくもって安心じゃないですか。なので、「分かりました、行きます」って軽いノリで。

――で、実際に行ってみたら。

木村 悪魔しかいないですね。「来られなくなっちゃった」って。

――「やられた!」とは思わなかったんですか。

木村 いえいえ。もう私、すぐ人のこと信じちゃうので。それが全部裏目に出るんですけど。そのときまで、あんまり人を疑わずに人生が進んでたので「そうなんですか。まあお忙しい方ですもんね、そっかー」って。それくらい有名な経営者の方だったので、そう思っちゃうんですよ。

――誘われて行った店は、三つ星みたいな?

木村 それが、普通の中華料理屋さんなんですよ。蓋を開けてみたら、彼の行きつけのお店だったんです。

 で、お店に入るじゃないですか。悪魔、マスターと仲がいいわけですよ。で、「マスター、マスター、俺の彼女。ここにもう俺の子どもいるの」って。

「麻痺してたのかもしれない」元夫の“セクハラ的な冗談”に違和感を抱かなかった理由

――2人で初めて会った日に、それを。

木村 1回目ですよ。でもジョークだと思うから、「いやいやいや、会ったばっかりですー」とかって普通のリアクションをしてたんですけど。今思うと、もういろんなことが始まってるんですよね。

――いろんなフラグ立ちまくりといいますか。

木村 そこらへんの感覚が鈍ってましたね。普通の人が聞いたら、そこはめっちゃ警戒しますよね。でも、当時の業界的な感覚だと、セクハラ的な冗談じゃないですか。そんなことを言う人がわんさかいたので、それもあって麻痺してたのかもしれないですね。

出会ってからわずか4か月で入籍してしまった経緯

――正常な判断ができない状態にあったと。

木村 いまだに自分で「魔が差した」って思ってるんですけど、冷静な判断ができていなかった。過去のそういうのを振り返ると、「なんでそこであなたは気づかなかったの?」ってことがめちゃくちゃあるんです。

「見なかったことにしたい。とにかく相手を信じたい。信じた先になんか安堵の地があるんじゃないか」って考えるようになっていたんですね。

――相手は、そう考えてしまう人を見つけることに長けていたんでしょうね。

木村 そういう嗅覚、見抜く力がすごいんですよ。向こうとしては絶好の相手を見つけたわけですよ、TBSアナウンサーという肩書きもあるし。

 これがもし5年前の私に会ってたら、そういうふうにはアプローチしてこなかったかもしれない。あのときの私は今の私じゃなかったですね。

――周りの人に相談は。

木村 それも彼は全部断つんですよ。出会ってから入籍まで4か月だったんですけど、その間にきょうだいと会ってくれないし、両親と会ったのは1回だけで、私の知り合いには全然会おうとしなくて。

 で、2人で行くのは彼の行きつけのお店ばっかりなんです。そこでは彼は王様なので。完全に、周りと断ち切られていましたね。

――もし誰かに会わせていたら、結果は違っていたかもしれない。

木村 兄は結婚式で彼と初めて会うんですけど、そのときに「おまえ、大丈夫かあの人」って言われて。参列者のある人からは、後に離婚の報告をしたら「結婚式で郁美ちゃんが横で笑ってなかったら、俺はグーで殴ってたね」と言われましたね。離婚したことを告げた人たちは、ほぼほぼ「やっぱりな」という感じで。

 だからあの時点で誰かに話したり、会わせていたら、見抜いてくれた人がいて、なにかしら助言をしてくれたんじゃないかなって。

撮影=石川啓次/文藝春秋

〈「僕が貯金を全額預かる」「現金で引き出して」元夫から“結婚詐欺”→借金3億円超を背負った元TBSアナ・木村郁美(53)が語る、入籍直後に始まった“異変の数々”〉へ続く

(平田 裕介)