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 ◇セ・リーグ 阪神7─4巨人(2026年5月22日 東京ドーム)

 阪神のドラフト1位・立石正広内野手(22)が22日、巨人戦(東京ドーム)でプロ初の1番で先発出場し、初の3安打で7―4の勝利に貢献した。ドラフト制以降、球団新人の伝統の一戦初出場での猛打賞は、16年高山俊以来。初長打、初打点となる初適時打、さらには初のヒーローインタビューを務める初尽くしの一日になった。1軍デビュー以来、チームは3戦3勝で貯金9は今季最多タイ。首位ヤクルトに0・5差に肉薄した。

 初のヒーローインタビューを終えたルーキーを歓迎するように、割れんばかりの「立石コール」が響いた。ビジターであることを忘れさせるほどの大声量が、虎党の喜びを物語っていた。伝統の一戦の初陣でプロ初の3安打猛打賞を記録した。

 「凄い歓声だったので、またこういう試合をいっぱいできたらいいなと思う」

 プレーボール直後に、その歓声を真っ先に浴びた。今季3勝、防御率1・67の先発・井上から左越えの二塁打。難しいインローの直球をうまく捉えた。打席に向かう前に、先輩・森下から受けた「東京ドームなので、室内バッティングをするぐらいの気持ちで」という助言で心を軽くしていた。先発・高橋を援護する初回3得点は、このひと振りが導火線になった。

 勢いは止まらない。3回は中前打、4回にプロ初打点の適時左前打を放った。凡退した2打席を含め、全5打席で芯で捉える内容の濃さを見せた。これまでの6番から一転、試合前に「(首脳陣に)1番でいくぞ」と告げられた一戦。アマチュア時代を含めて「記憶にない」という不慣れな打順にも萎縮は皆無。全5打席で第1ストライクを打って出る、「変わらずしっかり振っていく」というスタイルを貫いた。

 その積極性こそ、創価大時代を担当した吉野誠スカウトが「準備、タイミングが取れないと初球から振っていけない」と高く評価した長所だった。大学2年時の23年全日本大学選手権。同スカウトが東京ドームで見た「こすったような打球が右翼へのホームランになった」とほれ込んだ。

 交流戦前、3位のライバルと激突する重要な局面で、ルーキーをトップバッターに据えた藤川監督。試合後は「特に大切なゲームと捉えていたので、素晴らしい前後の活躍だった」と、「立石効果」への言及を避けた。しかし、グラウンド上の事実は雄弁だ。立石のデビュー後、チームは3連勝。今季2度目の先発野手全員安打を呼んだ。打線に火を付けたのはいうまでもなく、黄金ルーキーだ。

 「お客さんがいる前でプレーすることを夢見てきたので、プレーできてうれしかった」

 ファンを興奮させる打力。真弓、今岡の系譜を受け継ぐ「強打の右の1番」誕生の気配が漂ってきた。 (倉世古 洋平)

 ○…立石(神)が3安打でプロ初猛打賞。阪神の新人で巨人戦猛打賞は、23年の森下が2度記録して以来だが、巨人戦初出場で打ったのは00年の上坂太一郎、16年の高山俊(4安打)に続く10年ぶり、ドラフト制以降(66年以降)3人目。

 ○…今季は同期でドラフト3位の岡城が先発デビュー2試合目(出場6試合目)で初猛打賞をマークしているが、新人デビュー3試合目の初猛打賞は01年の沖原佳典以来25年ぶり。デビューから3試合連続の安打は16年高山の4試合以来10年ぶり。

 ≪岡田氏と原氏大絶賛「末恐ろしい」≫黄金ルーキーの鮮やかな伝統の一戦デビューに阪神・岡田彰布オーナー付顧問、巨人・原辰徳オーナー付特別顧問の両レジェンドも賛辞を惜しまなかった。

 テレビの中継で初めてダブル解説に臨んだ岡田顧問は「(3安打は)ストライクゾーンを全部スイングできている。思い切りがいいし、甘い球を引き込めている。いつでもいける準備ができているということや」と3安打、1打点の打撃を評価した。

 初めて見た原顧問も「いいとは聞いていたけど、実際見ると見事。内容も完璧。ドラフト1位だけど、岡田、原より上かもしれない。デビューしたてとはいえ、末恐ろしい」と今後も伝統の一戦の主役になると断言。阪神、巨人を率いた名将がそろって、黄金ルーキーを認めた。(鈴木 光)